研究課題/領域番号 |
19H02863
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横田 篤 北海道大学, 農学研究院, 教授 (50220554)
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研究分担者 |
前田 智也 北海道大学, 農学研究院, 助教 (10754252)
片岡 尚也 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (50713509)
和田 大 摂南大学, 農学部, 教授 (00301416)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 大腸菌 / 呼吸鎖 / グルタミン酸 / γ-アミノ酪酸 / 1,3-ブタンジオール / γーアミノ酪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は発酵生産の効率化を目的として研究を進め、これまでに酸化的リン酸化の不具合によるエネルギー欠乏の誘導が異化代謝を活性化して生産性向上に有効であることを示してきた。本研究では大腸菌の呼吸鎖酵素二重欠損ΔΔ株が示すエネルギー欠乏への潜在的な適応機構と考えられる異常な糖代謝を材料として、1)その機構をメタボローム解析やRNA-Seqによる網羅的遺伝子発現解析などを通じて調べる。さらにその結果を応用して、2)有用物質生産のためのロバスト(強靭)な大腸菌宿主を開発する。以上の研究が進展できれば、大腸菌の基礎科学と産業応用の双方における大きな貢献が期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、野生株W1485から取得したΔΔ株(NDH-IとCytbo3を共に欠損)が糖消費活性と呼吸活性の著しい上昇、酢酸の生成、NADHの滞留、グルタミン酸(Glu)の著量蓄積などの異常な糖代謝を示すことを発見した。さらにメタボローム解析、RNA-Seqにより、ペントースリン酸経路、酢酸生成経路に加えて、Gluをγ-アミノ酪酸(GABA)に変換するグルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子gadABなどの発現上昇が認められた。また、ΔΔ株を用いた発酵生産の効率化について、1,3-ブタンジオールとGABAの高生産化を目指し、どちらの物質に対してもΔΔ変異が生産性向上に寄与することを実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究代表者は発酵生産の効率化を目的として研究を進め、これまでに酸化的リン酸化の不具合によるエネルギー欠乏の誘導が異化代謝を活性化して生産性向上に有効であることを示してきた。本研究では大腸菌の呼吸鎖酵素二重欠損ΔΔ株が示すエネルギー欠乏への適応機構を明らかにすることで、有用物質生産のためのロバスト(強靭)な大腸菌宿主が開発可能になる。本研究では、産業界に高い需要があるGABAと1,3-BDの発酵生産向上にΔΔ変異が有用であることを実証することができた。これらの成果は、大腸菌の生理学と発酵工業における有用物質生産の両方に関わっており、基礎科学と産業応用の双方における大きく貢献できると思われる。
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