研究課題/領域番号 |
19H02893
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
臼井 健郎 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60281648)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | タイトジャンクション / Claudin / 環状デプシペプチド / 構造活性相関 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、オプジーボを代表とする抗体などのバイオ医薬品が広く使われるようになってきた。バイオ医薬品は、その特異性と有効性の高さから急速に市場規模を拡大している一方、生体膜透過性が悪いため注射や点滴などの投与に頼らざるを得ない。このような投与法は通院が必要で、痛みも伴う侵襲的投与法であるため、患者のQOL(生活の質)低下を招いている。患者のQOL向上のための有効な手段として、張り薬や吸入剤といった経皮、経粘膜(経鼻、経肺)による非侵襲的投与が考えられており、その一つにTJ開口剤の利用が提案されている。 本研究では天然化合物MA026がTJを開口させるメカニズムを分子レベルで明らかにする。
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研究成果の概要 |
MA026は上皮のバリア構造であるタイトジャンクション(TJ)を可逆的に開口する天然物である。本研究では生産菌の生合成遺伝子解析、及び全合成から天然型MA026の平面構造を確定するとともに構造活性相関検討を行った。さらに結晶構造から立体構造を明らかにし、親水性と疎水性の両親媒性の表面を有すること、TJ開口には疎水面のアミノ酸クラスターが重要であることを見出した。また、本物質がclaudin-1のVFDSLL配列と結合特異性が高い一方で、claudin-3,4といった腸管で発現するclaudinのVFDSLL相同配列とも結合することが示され、経口の物質透過促進剤になる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
MA026の可逆的TJ開口活性を利用することで、これまで注射などの侵襲的投与法を余儀なくされている難吸収性薬剤を、貼り薬や吸入剤といった経皮、経粘膜による非侵襲的手法で投与することが可能になると考えられる。今回の研究で明らかになった構造と活性の関係性や標的特異性は、高活性類縁体の合成へと展開でき、注射剤の経皮・経口薬への転換を可能にすることで、患者の薬剤投与への負担を軽減できるようになると期待される。
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