研究課題/領域番号 |
19H02926
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
|
研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
吉田 雪子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (90271543)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
|
キーワード | NGLY1 / F-boxタンパク質 / ユビキチンリガーゼ / 糖鎖 / タンパク質品質管理 / プロテアソーム / NGLY1欠損症 / Fbx2/Fbxo6 / 小胞体関連分解 / Fbs2 / 細胞質糖鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
小胞体で正しい立体構造形成に失敗した糖タンパク質は、細胞質へ逆行輸送され、ユビキチン化を受け、細胞質にある糖鎖除去酵素NGLY1によりN型糖鎖をはずされた後、プロテアソームにより分解を受ける。NGLY1欠損症はNGLY1の変異による希少疾患であり、NGLY1のKOマウスは胎生致死となる。代表者は、細胞質にある糖鎖認識ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットFbs2の遺伝子欠損がNGLY1-KOマウスの胎生致死を回避し、全く正常に生育することを見出した。本研究は、細胞質におけるN型糖鎖除去システムの破綻が、Fbs2依存的にマウスの致死性を引き起こす分子機構を解明することを目的とする。
|
研究成果の概要 |
NGLY1は細胞質で糖タンパク質からN型糖鎖を除去する酵素である。その変異は全身性の重篤な疾患NGLY1欠損症を引き起こし、Ngly1-KOマウスは胚性致死となる。私達は、ユビキチンリガーゼの糖鎖認識サブユニットFbs2を同時に欠損させると、Ngly1-KOマウスの胚性致死性を回避し正常に生育することを見出した。NGLY1-KO細胞においても、Fbs2の発現は細胞死を引き起こした。Fbs2によりユビキチン化された糖タンパク質型転写因子Nrf1は細胞質に蓄積し、プロテアソームの転写誘導活性を失うだけではなく、さらにプロテアソームの機能不全を誘導し、細胞死の原因となることを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くの多細胞生物において、細胞質でN型糖鎖を除去する酵素NGLY1遺伝子の不活化変異は様々な不具合を生じるが、その機序は不明であった。今回の研究成果は、細胞質における2つのN型糖鎖関連タンパク質NGLY1とFbs2の遺伝的相互作用に着目し、細胞質でNGLY1により糖鎖が除去されない場合にどのように個体に異常を引き起こすのか、その分子機構を明確に示した。 また、Fbs2がこれまで治療法のなかったヒト希少疾患NGLY1欠損症の有望な治療ターゲットとなり得ることを示した。
|