研究課題/領域番号 |
19H02969
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水口 智江可 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (90509134)
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研究分担者 |
新美 輝幸 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 教授 (00293712)
粥川 琢巳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (70580463)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | カイガラムシ / 害虫防除 / 内分泌 / 幼若ホルモン / 脱皮ホルモン / 性的二型 |
研究開始時の研究の概要 |
農業害虫として知られるカイガラムシは、雄は翅を持つ成虫へと変態する一方、雌は翅のない成虫へと幼形成熟を遂げる。研究代表者はこれまで、「内分泌カスケード」と「性決定・性分化カスケード」のシグナル伝達経路の解明に取り組み、性特異的形質の発現において両カスケード間にクロストークの存在することを見出した。本研究では、カイガラムシの性特異的形質の発現において「内分泌カスケード」と「性決定・性分化カスケード」の間に存在するクロストークの全容解明を目的とすると共に、こうしたカイガラムシ特有のカスケードを阻害・撹乱することによって致死効果をもたらすような、画期的な新規害虫防除剤の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
カイガラムシは発育において顕著な性的二型を示す。本研究課題では、カイガラムシの性特異的形質の発現において「内分泌カスケード」と「性決定・性分化カスケード」の間に存在するクロストークの全容解明を目的とする。さらに、こうしたカイガラムシに特有のカスケードを阻害・撹乱することによって致死効果をもたらすような、画期的な新規害虫防除剤の開発を目指す。2021年度の研究概要は以下の通りである。 【カイガラムシにおけるゲノム解析の実施】 2020年度に新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった、フジコナカイガラムシのゲノム解析を実施した。フジコナカイガラムシからゲノムDNAを抽出し、次世代シーケンサーSequel IIe (PacBio) を用いた塩基配列の解析を行って、de novoでアセンブルされたデータを得た。 【薬剤投与により内分泌カスケードを撹乱した場合の影響調査】 前年度までの研究において、JH様活性を持つ薬剤(以下、JHミミックと省略)をメスのフジコナカイガラムシに局所投与したところ、明確な致死効果や外部形態異常は見られないものの、産卵数が減少するという予備的結果を得ていた。そこで2021年度の研究では、JHミミックをメス若虫に局所投与した場合の影響について検証した。その結果、成虫へと脱皮するものの、やはり産卵数が顕著に減少することが確認された。また、JHミミック処理の卵形成に及ぼす影響を詳しく評価するために、卵黄タンパク質をコードするvitellogenin遺伝子のcDNA単離を試み、候補配列を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で研究に遅延が生じ、予定していたカイガラムシのゲノム解析を実施することができなかった。2021年度は、このゲノム解析をようやく実施することができ、品質の良いゲノムデータを得ることができた。一方、薬剤投与によりカイガラムシの内分泌カスケードを撹乱した場合の影響調査についても実験を進め、産卵数への影響を明らかにすることができた。 このように、2021年度の研究は、おおむね順調に進展したと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果および進捗状況を踏まえ、次年度は以下のような推進方策を考えている。 【カイガラムシにおけるゲノム解析の実施】 2021年度はフジコナカイガラムシのゲノム解析を実施し、アセンブルされた高品質のデータを得た。そこで次年度以降は、このデータを基にしてORF領域の遺伝子予測とアノテーションを実施する。 【薬剤投与により内分泌カスケードを撹乱した場合の影響調査】 2021年度の研究では、JHミミックをメス若虫に局所投与した場合の影響について検証し、産卵数が顕著に減少することを確認した。次年度以降は、卵黄タンパク質をコードするvitellogenin遺伝子のcDNA単離を引き続き行い、vitellogenin遺伝子の発現に及ぼすJHミミックの影響を調査する。 【カイガラムシの培養細胞系の樹立】フジコナカイガラムシ組織から培養細胞系の樹立を、引き続き試みる。
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