研究課題/領域番号 |
19H02971
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70347483)
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研究分担者 |
渕側 太郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90802934)
志賀 向子 大阪大学, 理学研究科, 教授 (90254383)
長谷部 政治 大阪大学, 理学研究科, 助教 (40802822)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2019年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 昆虫 / 光周性 / 休眠 / 変異 / 内分泌 / 概日時計 / 内分泌系 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの昆虫は厳しい冬をやり過ごすため,秋の短い日長に反応して「休眠」と呼ばれる生理状態に入り,積極的に成長や繁殖を停止させる.このように生物が日の長さ(光周期)に反応する性質を「光周性」という.この光周性には種内でも違いがある.低緯度地域に生息する個体群は高緯度個体群に比べ,同一光周期条件下でも休眠に入る個体の割合が低い.また,メスはオスに比べて,同一光周期条件下でも休眠に入る個体の割合が低い.この地理系統差,性差の重要性は生態学的にも認められているが,どのような生理機構でこれらの違いが生み出されているのかは不明である.本研究は,この光周性の変異を生み出す分子生理機構を明らかにするものである.
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研究成果の概要 |
「昆虫の光周性における地理系統差や性差を生み出す生理機構」を明らかにすべく,ナミニクバエを対象として,①光周性を生み出す生理機構の解明,②地理系統差・性差を生み出す生理機構の解明に取り組んだ.その結果,概日時計から前胸腺刺激ホルモン(PTTH)産生細胞,そして前胸腺にいたる分子神経機構の一端を明らかにすることができた.また光周性の地理的変異は概日時計によって規定される光誘導相の違いによるものであり,この違いによって神経ペプチドの分泌タイミングや量が変化し,その結果,内分泌系に変化が生じて休眠・非休眠の誘導が変化すると考えられた.一方,性差を生み出す機構についてはいまだに謎である.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昆虫は越冬のために休眠に入る(共通性).一方,休眠を制御する光周性には種内でも違いがある(多様性).この共通性と多様性はどのようなしくみで生み出されているのだろうか.本研究は,光周性の分子生理機構を解明するとともに,その機構のうちの何が変化することで種内変異が生み出されているかを検討したものである.光周性の違いを分子神経レベルで明らかにしようとする研究は非常に少なく,本申請課題は高い先駆性を有する.また,本研究は「光周性」をテーマとして生理学と生態学を結びつける新しい時代の「エコフィジオロジー(生態生理学)」の礎となるものである.
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