研究課題/領域番号 |
19H02973
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
森山 実 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30727251)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 共生細菌 / 垂直伝達 / ムチン / 細菌保管 / 昆虫 / 共生微生物 / カメムシ / 産卵 / 細菌保護 |
研究開始時の研究の概要 |
カメムシ類昆虫では、自身の生存に不可欠な相利共生細菌を次世代へ受け継ぐ際、共生細菌を分泌物中に封入し、一時的に体外で保管するという興味深い行動が知られる。本研究は脆弱な共生細菌ですら野外の環境ストレス下において維持しうるカメムシ産生分泌物の細菌保護機能に着目し、チャバネアオカメムシの共生細菌をさまざまな分子遺伝学的操作が可能な大腸菌に人工的に置き換えた独自の共生系を利用することで、分子遺伝学的アプローチおよび生化学分析的アプローチを両輪として課題を推進し、カメムシ類が共生進化の過程で獲得した驚異の細菌保護能力の分子作用機構を世界に先駆けて解明することを目的とする。
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研究成果の概要 |
一部のカメムシ類昆虫は、自身の成長や繁殖に必須な腸内共生細菌を次世代に引き継ぐため、特殊な分泌物の中に共生細菌を封入し、卵の傍らに塗布する。本プロジェクトでは、共生細菌を体外で保存するカメムシの垂直伝達のしくみの解明に取り組んだ。その結果、垂直伝達のための特別な組織がメス成虫において分化することや、本封入物質に糖タンパク質や低分子分泌性タンパク質を主要構成成分として含んでいることを明らかにした。また、分泌物合成に関わる遺伝子群やそれらを上流において制御する因子を特定するなど、垂直伝達の分子遺伝学的メカニズムを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共生細菌は宿主体内の環境に高度に適応した結果、単独では環境中で生きていけないほど脆弱になっているが、カメムシ分泌物に封入された状態では、さまざまな環境ストレスにさらされる体外において一定の期間生存を保つことができることから、カメムシが生産する封入物質は高い細菌保護効果をもつことが考えられる。本プロジェクトの推進によって、封入剤の構成要素および関与する遺伝子が特定できたので、今後、得られた成果を活用していくことで、将来的には常温常圧化で簡易的に有用細菌を保存するための技術の開発につながると期待される。
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