研究課題/領域番号 |
19H02974
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
内海 俊介 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (10642019)
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研究分担者 |
門脇 浩明 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (30643548)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)
小林 真 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (60719798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 迅速な進化 / 森林再生 / 生物群集 / 共進化 / 一次遷移 / 生態ー進化フィードバック / 遺伝的多様性 / 生物多様性ー生態系機能 / GBS / シカ食害 / 環境DNA |
研究開始時の研究の概要 |
生物の迅速な進化は生物群集の動態や生態系の機能に大きな影響を与える。これまでに見過ごされてきたが、大規模な環境改変を伴う生態系復元の現場は、迅速な進化のホットスポットである可能性が高く、群集構成種の共進化と群集の動態がダイナミックに相互作用する拡散共進化系であると予測される。本研究は、森林生態系において、ゲノミクスによる包括的なアプローチと多地点大規模復元実験の融合によってこの予測を検証する。そして、迅速な共進化を明示的に考慮することで生態系復元を最適化できるという仮説を実証的に検証する。これらを通して、進化ー生態学の総合研究を推進し、生態系復元の最適化という社会課題に向けた新たな提案を行う。
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研究実績の概要 |
大規模撹乱に対する節足動物群集の再生過程を検証した。昨年までに完成した大規模実験地を活用し、地上徘徊性昆虫の調査を行った。実験地を山腹崩壊処理区とし、隣接する天然林・人工林を対照区として、地上徘徊性昆虫群集の撹乱応答を比較した。処理区と対照区では、群集の種組成がまったく異なり、処理区では各サイト間での組成の変異性(β多様性)が対照区と比較してきわめて高いことが分かった。大規模撹乱が生じた際には、森林を好む昆虫種は定着できず、周囲の撹乱地をハビタットとするような種が移入すること、その移入には確率性も大きく貢献していること、という過程を通して群集が形成されることが分かった。そしてこの移入が機能しない場合には、多様性回復は遅くなることが示唆された。また、非生物環境要因との関連性の解析も行ったが、環境要因による群集への説明度はきわめて低く、撹乱地間での群集組成の違いを説明できなかった。したがって、山腹崩壊という極端な環境改変による決定論的過程がまず重要であるが、その上でさらに確率的過程も相対的に重要性が高いことが示唆された。 次に、植栽した植物上の陸域昆虫群集と地下部の根圏微生物群集についてメタバーコーディングによる調査を行い、再生過程における地上部・地下部のネットワーク構築過程の調査を行った。陸域昆虫群集については環境DNAの収集によりこれを行った。これらのデータより、植物―昆虫のネットワークと植物―根圏微生物のネットワークを構築した。植物-昆虫ネットワークは、植物-根圏微生物ネットワークに比べ、度数もエッジ数も遥かに小さかった。しかし、昆虫―微生物のマルチレイヤーネットワークを構築したところ、地下部微生物のリンクが発達した植物ほど昆虫の定着も進んでいることが見えてきた。 さらに、自然定着した実生の調査を行うとともに、遺伝解析を進め、再生過程初期における遺伝構造を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昆虫群集の解析・地上部-地下部のネットワーク構造解析・回復植生の遺伝解析など、それぞれ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のように推進する。 1)植物の種多様性と遺伝的多様性のレベルを操作した実験において、生態系機能に対する両多様性の効果の時間変化が明らかになりつつある。さらに、それらの多様性効果が地形に依存するという新しい知見が明らかになりつつある。植物遺伝構造についてゲノミクス解析をさらに進め、これらの成果をまとめ論文化する。 2)地上部昆虫群集に対する環境DNAを活用したメタバーコーディングと地下部の根圏微生物群集のメタバーコーディングを活用した、地上部ー地下部マルチレイヤーネットワークの構造の特性が明らかになりつつある。この知見をさらに深め、自然再生におけるネットワーク再生の過程を明らかにしていく。 3)植物-植物相互作用における種内・種間の変異の重要性を実験的に明らかにし、上記1に関する生態学的メカニズムを解明する。 4)これまでに得られている成果に関する論文執筆と投稿を行う。
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