研究課題/領域番号 |
19H02977
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山口 敦子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (10310658)
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研究分担者 |
古満 啓介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 特任研究員 (30554266)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | サメ・エイ類 / 繁殖生態 / 胚休眠 / 胎生 / 絶滅危惧種 / 希少種 / 成育場 / 干潟・河口域 / 成熟 / エイ類 / 初期発生 / embryonic diapause / 板鰓類 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、世界の板鰓類(サメ・エイ類)のうちの約4分の1の種が深刻な絶滅の危機に瀕していることが明らかにされているが、その生物学的知見は乏しい。板鰓類は本来の稀少性に加え、海洋生態系の高次捕食者としても重要な調節機能を担っており、その保全に必要な繁殖生態と成育場を明らかにすることは喫緊の課題である。そこで、板鰓類の多様性が高く、中でもトビエイ亜目のホットスポットとなっている有明海において、干潟・河口域のもつ成育場としての意義や機能を評価し、その重要性を示すことに加え、未解明であった繁殖機構を包括的に解明し、これらの保全に必要な基盤を構築する。
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研究成果の概要 |
板鰓類(サメ・エイ類)は世界的に深刻な絶滅の危機に瀕していることが明らかにされている。本研究では、稀少な板鰓類のホットスポットとなっている有明海が、それらの成育場としての機能を果たしていること、複数のエイ類が胎内での胚発生初期に短・長期に及ぶ休眠期を持つことなど、未知の繁殖生態を明らかにしたことに加え、「胚休眠が冬季の死亡率を低減し、胎仔の発達と出産に最適なタイミングとなるよう調節することで繁殖成功を高めている」との仮説検証に成功し、胚休眠が優れた生存戦略であることを板鰓類で初めて示した。これらの包括的な繁殖機構に基づく成果により、板鰓類の保全に必要な基盤を構築した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、これまで魚類ではほとんど知られていなかった発生初期の胚休眠という特殊な繁殖戦略を複数の胎生エイ類が持つこと、親と子の双方の生残を高める優れた生存戦略であることをフィールド研究により初めて明らかにした点で、生物・生態学のみならず、温暖化などの環境変動が生物に与える影響や脊椎動物の進化過程の解明に貢献する重要な知見となった。また、干潟・河口域が内外の板鰓類を育む成育場として機能することを含め、多くの種の生態学的知見を解明したことで、国際自然保護連合(IUCN)や国内での絶滅リスク評価とレッドリスト作成、保全行動計画の策定等に速やかに役立てることが出来、社会的な貢献度も高い。
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