研究課題/領域番号 |
19H03011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
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研究分担者 |
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
眞家 永光 北里大学, 獣医学部, 准教授 (00453514)
和穎 朗太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80456748)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2019年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 人工林 / 土壌劣化 / 土壌酸性化 / 樹種特性 / 塩基置換容量 (CEC) / リター分解 / 植物ー土壌間相互作用 / 適地適木 / 施業 / 土壌有機物 / 立地環境 / 細根動態 / 細根バイオマス / 植物-土壌間相互作用 / 植物土壌間相互作用 / 陽イオン交換容量 / 土壌植物間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまで、土壌肥培効果のあるスギは、痩せて酸性度の高い土壌を肥沃化することはできず、そのような土壌では酸性化がますます進行していることを明らかにした。その原因は、痩せた土壌で増産された細根(野外調査結果)が、その枯死後に分解過程で多量の酸を土壌へ放出する(室内実験結果)ためと推察された。 これらの結果を受け、樹種、細根の部位など室内実験材料に多様性を与え追試すること、室内実験を模した野外実験を行うこと、さらに分解残渣の官能基組成を調べることで、土壌環境に触発された細根増産が土壌の養分保持能を損なう可能性について包括的に議論し、土壌―植物間相互作用を考慮した人工林の育成指針の構築に資する。
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研究成果の概要 |
土壌の酸緩衝能が高い、あるいは低いという2グループに属する複数のスギ・ヒノキ林において、細根動態、土壌生物相、土壌有機物の養分保持機能の差異を調査した。またスギの低次根と高次根の分解実験を室内で行った。その結果、酸緩衝能が低い土壌では低次根が多量に生産されること、低次根が増えると、低次根と高次根が同等に増える場合より、さらに土壌が受け取る酸の量は多くなること、土壌酸性化の進行は、微土壌生物群や、土壌有機物の官能基組成に関与すること、細根リターは土壌有機物の重要な給源であるにもかかわらず、分解系が刺激されることで、土壌有機物の集積が進まず、土壌の養分保持能力は向上しないことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
適地適木は、林業の現場で先人により受け継がれてきた叡智である。日本では、戦後など経済の変革期において、適地適木よりも経済性が優先された造林樹種の選択が行われてきた歴史がある。本研究は、痩せて酸性化の進んだ土壌に植えられた樹木は細根動態を通じて土壌に還す枯死根量を増やし、それがさらなる土壌酸性化を引き起こすという正のフィードバックと、その中で生きる生物群の組成、これら生物活動の結果として生成される土壌有機物の性質にもまた、変化が生じていることを示した。その最も重要な意義は、植物-土壌間相互作用を考慮しない施業は、人工林における土壌の劣化(酸性化)を進行させる可能性があることを示した点である。
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