研究課題
基盤研究(B)
現在、世界的な人口増加の中で、養殖業の重要性が増してきている。その中でもサケ・マス類の海面養殖は、規模的にも技術的にも世界の養殖生産を牽引している。我が国でもサケ・マス類の地域ブランドの確立が盛んになってきている。しかし、国内外の養殖現場では魚は高密度、高水温、高塩分などのストレスにさらされ、成長停滞が懸念されている。本研究は、成長を司るホルモンと蛋白質に着目し、それぞれの機能を明らかにすると共に、それらを成長やストレスの指標(ツール)として確立することを目指している。これらの指標を用て飼育魚の成長・ストレスを定量的かつ定質的に診断する方法を開発することで、飼育環境の評価と改善が期待される。
本研究は、サケ科魚類のインスリン様成長因子結合タンパク(IGFBP)の機能・反応に着目して、養殖魚の成長・ストレスの診断法を開発することを目的とした。まず、サクラマスの4種IGFBP-1サブタイプ全ての組換えタンパクを作製し、それらのIGF-1活性阻害作用を比較した。また、血中IGF-1の主要運搬役とされるIGFBP-2bの組換えタンパクも作製し、それを用いて時間分解蛍光免疫測定系を確立した。ニジマスを用いた飼育実験から、IGFBP-2bはIGF-1と共に正の成長指標として有用であることを提唱した。さらに、ニジマスIGFBP-2bのゲノム編集を行って、今後の機能解析に有用な実験魚を作出した。
本研究成果の学術的意義は、まず、サケ科魚類に特有の全ゲノム重複により生じた4種のIGFBP-1サブタイプ全てに対して組換えタンパクを作製して機能解析を行った点である。そして、ゲノム編集によりIGFBP-2bノックアウトニジマス作出の道筋を付けたことで、今後の研究の発展が期待されるのも学術的に意義がある。また、組換えタンパクを活用してIGFBP-2bに対する測定系を確立し、本タイプの血中量測定により養殖魚の成長を評価できる可能性を示した点が社会的意義として挙げられる。
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