研究課題/領域番号 |
19H03040
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
酒井 隆一 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (20265721)
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研究分担者 |
田中 良和 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20374225)
及川 雅人 横浜市立大学, 理学部, 教授 (70273571)
松永 智子 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (70533412)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 海洋天然物 / タンパク質 / ドラッグデリバリー / 核内移行 / トロンボポエチン受容体 / レクチン / アルカロイド / 毒素 / 小胞輸送 / エンドサイトーシス / ペプチド / グアニジンアルカロイド / タンパク毒素 / 細胞内移行 / ポリアミン / グアニジン / 膜透過 / 分子送達 / トロンボポエチン / ペプチド毒 / Cell Penetrating Peptide / 生体膜 / 結晶構造解析 / ドラッグデリバリ |
研究開始時の研究の概要 |
生体膜をはじめとする生体バリアを透過できない水溶性生理活性物質は,細胞表面の受容体やイオンチャンネル等への作用,もしくは細胞膜の直接的な破壊などの戦略で活性を発揮する.一方で非常に巧妙な機構で膜を透過し組織や細胞内に侵入することで作用する物質もある.本研究では,生体膜などの生体のバリアを巧みに攻略する化合物に焦点を当て,それらの化合物がいかにして組織や細胞内に移行し標的分子に作用するのかを解明することで,天然物をベースとした薬物送達(ドラッグデリバリー)システムの開発に資する基盤的な知見を得る.さらに送達能の高い分子を天然より探索し,これまでにない薬物送達素子を発掘する.
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研究成果の概要 |
海洋生物の水溶性に含まれる生理活性物質に着目し、生体膜などの生体のバリアを巧みに攻略する化合物やサイトカイン受容体等にユニークな活性を持つ物質を探索した。その結果、細胞に侵入し核内に移行、アポトーシスを誘導して強力な毒性を示す110kDのタンパク質毒素ソリテシジン(SOR)、細胞膜内に侵入するポリアミンに修飾されたペプチドアーキュレイン(ACU)、トロンボポエチン様活性を持つフコース結合性レクチンであるトロンでボコルチシン(ThC)、海綿の細胞内に侵入、ゴルジ体に局在するレクチンRaspL、細胞に侵入して小胞輸送経路をかく乱するKB343等の生理活性物質を得、構造と活性機序に関する知見を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、海洋生物の水溶性成分、特にタンパク質成分に極めて興味深い生理活性物質が数多く含まれることを示した。特に、SORは効率的に核内に移行する機能を持つ。この機能の一部を担う構造モチーフを得た成果はドラッグデリバリーへの応用へとつながる。また、トロンボポエチン様の活性を持つレクチンThCの発見はTPO受容体がこれまでにない機構で活性化することを初めて立証したもので、新規の薬物の作用点やガンなどの病態の解明を大きく進展させる学術的重要性の高い成果である。これらのほかにも新規の小分子化合物や細胞侵入タンパク質を見出しており、さらなる知見を得ることで海洋天然物化学の発展に大きく貢献できる。
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