研究課題/領域番号 |
19H03042
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 壮一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20507884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 魚類 / 生体防御 / 腸管 / キチン / 魚類生理 |
研究開始時の研究の概要 |
消化管はすべての動物で栄養吸収の場として重要だが、多量の微生物等の外的環境に直接接触する場でもあり、生体防御機構の存在なくしては細菌感染のリスクに対処できない。先行研究で魚類の腸管内で発見された新奇キチンナノファイバーメッシュ膜がいわばフィルターの役割を果たすことでバクテリアが直接腸上皮に接触することを防いでいると考えられた。本研究計画ではその役割を詳細に理解するために、魚類での腸管内キチン膜の詳細な構造観察、生合成経路および生体防御機構としての機能性を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では真骨魚類のキチン合成酵素が真にキチン合成能を有することを示した。また当該分子をコードする遺伝子がほぼすべての条鰭亜綱魚類で保存され、広範な条鰭亜綱魚類腸管内にキチン膜が実際に存在することを明らかにした。キチン膜の孔径は100 nm以下であり、腸管内キチン膜が細菌類に対する生体防御機構が条鰭亜綱魚類で普遍的に機能することが示唆された。加えてキチン合成酵素分子は腸管上皮細胞の頂端膜に局在することが示された。さらにキチン合成酵素の基質であるUDP-GlcNAcの腸管細胞内での生合成経路に関与する遺伝子についても絞りこんだ。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は魚類の腸管においてキチン膜による生体防御機構が普遍的に存在することを強く示唆するものであり、腸内細菌叢の動態等を理解する上で極めて重要な知見をもたらした。また、脊索動物門の生物が機能的なキチン合成酵素を持つことを明確に示した報告はこれまでになく、これまで無脊椎動物に限られると考えられてきた内因性キチンの役割を脊索動物門に対象を広げて検討することを求める成果であることから、その学術的意義は大きい。今後、魚類腸管内キチン膜による生体防御機構の詳細をさらに明らかにすることで、魚類養殖での疾病対策技術につなげることもできると考えられる。
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