研究課題/領域番号 |
19H03076
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
服部 俊宏 明治大学, 農学部, 専任准教授 (10276165)
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研究分担者 |
武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259)
清水 夏樹 神戸大学, 農学研究科, 特命准教授 (40442793)
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
齋藤 朱未 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (20712318)
井上 果子 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (70733129)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2019年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 臨海農業集落 / 存続可能性 / 大規模災害 / レジリエンス / 類型化 / 生業構造 / 復興整備事業 / 担い手 / 豪雨災害 / 地震 / 社会的弱者 / 土地利用変化 / 野生動物被害 |
研究開始時の研究の概要 |
臨海農業集落は存続が危ぶまれているところが多い。このような地域は東日本大震災等で大きな被害を受けており、大規模災害に見舞われた際のレジリエンスについても検討することが、その存続のためには重要となる。 そこで本研究は、大規模災害へのレジリエンスを考慮した臨海農業集落の存続可能性評価 軸の創成を目的する。そのために、まず臨海農業集落固有の被災とレジリエンスの特徴を 抽出する。それを基に,臨海農業集落の類型化を災害に関する要因を組み込んだかたちで 再構築し,類型別にレジリエンスと平時の存続基盤の関係を把握する。このことにより, レジリエンスを考慮した臨海農業集落の存続可能性評価軸の創成を図る。
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研究実績の概要 |
大規模災害へのレジリエンスを明らかにするための事例調査は、山口県周南市大津島、愛媛県忽那諸島・興居島、大分県国東半島、宮崎県延岡市で実施した。大津島においては、本土中山間地域との対比の中で、感染症パンデミックの外部との交流に関する影響について調査し、パンデミックの影響は一時的なものであり、交流意欲そのものを阻害するものではないことを明らかにした。豪雨災害被災地である愛媛県の忽那諸島・興居島においては、樹園地の復興整備を調査し、無収入期間の長さ、被災状況の相違による合意形成の難しさ、担い手の不足といった阻害要因を明らかにした。国東半島においては、集落周辺の土地利用を特徴づけるシチトウイ栽培について、自然災害や砂浜の浸食がシチトウイ栽培の衰退に影響を与えていたことが推察された。宮崎県においては、宮崎県漁協女性部を対象にしたインタビュー調査及びアンケート調査結果を取りまとめ、さらに深堀するための質的調査として宮崎県北部の延岡市におけるフィールドワークを実施した。 また、より広域での資源保全を通じた地域のレジリエンス強化の実態把握のために、石川県、西日本全域を対象とした実態調査とオンラインサーベイを実施し、資源管理の地域固有性とその労働力の減少、あるいは資源保全活動への不参加要因が容易には解決困難なことが明らかとなり、沿岸部分のレジリエンスは必ずしも盤石ではない現状が示された。さらに、岩手県沿岸の津波被災地においては、漁業地区を単位とした農業と漁業に関する統計データベースを構築し、震災前後の産業構造の変化を解析した。産業構造が最も変化したのは漁業主体の地区であり、農業と漁業がバランスよく再建された地区では人口減少が加速していないことが示された。また、愛媛県の農業集落を臨海集落と非臨海集落に区分し、就業者率により類型化から、漁業就業者率が高い集落の脆弱性が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に引き続き、現地調査については感染症パンデミックによる行動制限により、十分な活動ができなかった。その中でも、移動が県内で完結する石川県、愛媛県、宮崎県における調査は相対的には進行したが、県境を跨いでの調査となる岩手県、山口県等における調査は若干遅れ気味である。 一方、統計解析、オンラインサーベイについては行動制限の影響を受けないので、概ね計画通りの進行がなされた。
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今後の研究の推進方策 |
レジリエンスを規定する要因については、これまでの事例調査の中で行動制限の影響等により情報の収集が不十分である項目の追加調査を中心に、引き続き現地調査を実施する。それにより、臨海集落の類型化の成果も踏まえ、それぞれの地域条件に対応するレジリエンスを考慮した臨海農業集落の存続可能性評価軸を創成する。 また、創成された評価軸の適応可能性についても、国内外の調査地において検証する。
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