研究課題/領域番号 |
19H03093
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
|
研究機関 | 人間環境大学 |
研究代表者 |
藤井 伸二 人間環境大学, 環境科学部, 准教授 (40228945)
|
研究分担者 |
牧 雅之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (60263985)
那須 浩郎 岡山理科大学, 基盤教育センター, 准教授 (60390704)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
|
キーワード | 水生植物 / 農耕 / 人為的インパクト / 遺伝的変異 / 交雑 / 農地 / 人為インパクト / 隠蔽種 / 農耕地拡大 / 分子植物地理学 / 地域集団 / 農耕地環境 / 分子系統地理学 / 集団遺伝学 / 遺跡試料 / 遺伝的交雑 / 遺伝的分化 / 系統地理学 / インパクト評価 |
研究開始時の研究の概要 |
およそ2,500年前に始まった水稲耕作にともなう水田や灌漑溜池・水路の造営は,水生生物に新たな生息環境を提供した.そして,農耕地においては,それまで各地の水系や水域に分断的だった地域集団どうしの接触と交雑が進んだと考えられる.本研究では,現生試料と化石試料を材料に,分子植物地理学的な手法および集団遺伝学的な手法を用いて,1)過去の地理的遺伝構造を明らかにしたうえで,2)農耕地における交雑の程度を明らかにすることで,3)農耕地拡大が水生生物にもたらしたインパクトの評価を行うことを目的としている.そして,過去の歴史的な系譜を踏まえた地域保全戦略の提案を目指す.
|
研究成果の概要 |
イバラモ属植物の葉緑体DNAと核ITS領域の遺伝子解析を行った結果,移入種の存在,種間交雑の存在,隠蔽種の存在が示唆された.セキショウモ,アサザ,カヤツリグサ属についてMIGseq法を用いた遺伝子解析を行った結果,セキショウモとアサザについて地理的な遺伝的分化が示された.アサザでは従来の研究では不明だった地理的構造と人為的な移入集団の存在を明らかにすることに成功した.カヤツリグサ属については,これまで種内分類群とされていたものが独立種に相当するほど大きな遺伝的分化をしていることが判明した.これらの成果に基づいて,分類学的な整理を行いつつ,農耕が水生植物の遺伝構造に与えた影響の評価を進めている.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
形態的特徴に乏しいイバラモ属植物の同定に遺伝子情報が有効であることが示され,種同定における遺伝子情報利用の有効性と信頼性が検証された.広域分布種の多い水生植物では地理的分化は小さいと考えられてきたが,日本列島のような狭い地域内での地理的分化が示されたことに加えてアサザでは人為的移動が示唆された.次世代シークエンサーを用いたMIGseq法による地理的分化の解析の有効性が示され,今後のさらなる活用が期待される.これらの成果は,水生植物の保全において地理的な分化に注意を払う必要性があること,さらに集団間分化の研究や保全事業の実施においては移入個体群の判別が必須であることを示している.
|