研究課題/領域番号 |
19H03094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中村 彰彦 静岡大学, 農学部, 准教授 (20752968)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | キチン加水分解酵素 / ビブリオ菌 / 1分子計測 / 糖質吸着ドメイン / キチナーゼ / キチン / ビブリオ / 1分子計測 / 動力学解析 / 海洋性バクテリア / 吸着 / バイオマス / 海洋微生物 / 構造機能相関 |
研究開始時の研究の概要 |
生物は生息環境に適応した機能を持ち、特に陸上と海洋では主要な微生物は異なっている。一方で両方の微生物に共通する性質の一つとして、昆虫や甲殻類の外骨格の構成糖であるキチンの分解能がある。これまでの研究では採取及び培養しやすい陸上微生物を中心としたキチン分解系の解析が行われてきた。しかしキチンは海洋中にも豊富であり、むしろ栄養源の限られる海洋では非常に重要な物質である。キチン分解は加水分解酵素や酸化還元酵素により行われる。海洋微生物の酵素では吸着ドメインの数が陸上微生物の酵素よりも多く、1分子観察によりキチンへの吸脱着及び分解運動を調べることで、そのドメイン構成差の理由を明らかにする。
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研究成果の概要 |
海洋性バクテリア由来のキチン分解酵素は、陸上バクテリア由来の酵素のC末端側に追加の吸着ドメインが付加している。そこでビブリオ菌由来キチン分解酵素の全長と追加ドメインを削除した変異体で生化学的活性を比較したところ、全長酵素はキチンへの高い親和性を示した。1分子蛍光計測で計測した2つの酵素の脱着速度を比較すると、吸着速度定数はほとんど変化がなかったのに対し、全長酵素では非常に長くキチンへの吸着をすることがわかった。また追加の吸着ドメインのみでもキチンへの特異的な吸着が計測できた。2つの吸着ドメインによるキチンへの長い吸着は、酵素の解離拡散を防ぎ、海洋中での反応に有利であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海中には大量の微細甲殻類が生息しており、その殻としてキチンの年間生産量は14億トンと推計されている。この大量のキチンは海洋性バクテリアによって分解され、海洋中での炭素循環が成り立っている。本研究で海洋中バクテリアに特異的なキチン分解酵素はキチンに吸着する部位を1つ多く持つことで、海洋中でもキチンから離れにくくなり効率的な分解が行えることを明らかにした。この海洋環境での結晶キチン分解システムは、薄い基質濃度化での固体バイオマス分解や海洋環境中に散らばっている微細プラスチック片の分解除去に有用な知見となる。
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