研究課題
基盤研究(B)
暑熱環境下における体温調節機構を理解することが、“より良い暑熱対策を見出す”ためには必要である。本研究は、暑熱環境下のニワトリ中枢性神経ペプチドY(NPY)について、(1)体温降下作用と暑熱ストレス緩和作用、(2)標的細胞内におけるシグナリング・カスケード、(3)関連する生理活性物質の役割を明らかにすることで、暑熱環境下におけるニワトリ体温調節機構の解明を目指すものである。
本研究では、神経ペプチド Y(NPY)とタウリン(TAU)が鶏の暑熱ストレス反応を減弱させる重要な因子であることを示した。NPY中枢投与は脾臓での熱ストレス応答を減弱化し抗酸化状態を増強することが示唆された。TAU中枢投与はGABAA受容体を介した低体温症や食欲不振が生じ暑熱ストレス反応は抑制された。その機構はTAUがドーパミンβ-水酸化酵素とトリプトファン水酸化酵素を活性化し、それぞれノルエピネフリンとセロトニンを生成することであった。これら酵素の阻害実験からセロトニンがTAUによる食欲不振に関与していることが示された。また、TAUはCRF誘発性発熱やストレス行動を抑制することも示された。
益々深化する地球温暖化のなか、家畜の暑熱ストレス問題を軽減するため、新規の体温降下作用を有する生体分子の開発は、栄養学的、治療学的なアプローチにつながる。とりわけ、ニワトリは比較的安価なタンパク源を供給することで食糧生産にとって重要であるが、相対的に暑熱ストレスに対して弱いという欠点がある。したがって、本研究で得られた知見は、地球温暖化が進む中で、消費性の高い動物性タンパク質の生産に貢献することが期待される。
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