研究課題
基盤研究(B)
免疫チェックポイントに係る免疫抑制因子を標的とした特異的に腫瘍を排除する抗体医薬品を開発し、難治性の悪性腫瘍に罹ったイヌに対する臨床応用研究を行ってきた結果、悪性黒色腫と未分化肉腫に罹ったイヌの一部で腫瘍の退縮効果を確認した。さらに、悪性黒色腫では肺に転移した後の生存期間を延長する効果も確認された。これまでの申請者らの組織病理学的解析から、免疫チェックポイントに係る免疫抑制因子は、イヌやネコにおける種々の癌腫において発現していることが確認されている。このことは、腫瘍横断的な新規治療法が可能であることを強く示すものである。そこで腫瘍横断的な新規治療法の実用化のための実証研究を実施する。
これまでの我々の研究により、イヌの一部のがんではPD-L1が過剰に発現し、抗PD-L1モノクローナル抗体を用いた治療が可能であることが示された。そこでさらに、イヌの様々ながん種におけるPD-L1発現を確認するとともに肺転移のあるイヌ悪性黒色腫に対する抗PD-L1抗体を用いた治療の安全性と有効性を検討した。悪性黒色腫を含むほとんどのイヌの悪性腫瘍でPD-L1の発現が確認された。また、抗PD-L1抗体を用いた治療群では対照群と比較して生存期間が有意に延長した。このことから、PD-L1はイヌのがん免疫療法の有望な標的であることが示された。
近年、長寿命化に伴い悪性腫瘍(がん)によって命を落とすイヌが増えており、既存の治療法に加えて新たな治療戦略の開発が望まれている。ヒト医療では、外科療法・放射線療法・化学療法に加え,免疫療法の応用が進んでおり、獣医療でも同様に新規の治療法の登場が望まれている。本研究の遂行によって良好な成果が得られれば、伴侶動物における新たな腫瘍治療法の実現に資すると考えられる。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 4件、 招待講演 13件) 備考 (8件)
Scientific Reports
巻: 12 号: 1 ページ: 2124-2124
10.1038/s41598-022-06203-w
120007191780
Front Vet Sci.
巻: 14;8 ページ: 656715-656715
10.3389/fvets.2021.656715
臨床獣医
巻: 6 ページ: 82-84
npj Precision Oncology
巻: 5 号: 1 ページ: 10-10
10.1038/s41698-021-00147-6
Frontiers in Veterinary Science
巻: 7 ページ: 330-330
10.3389/fvets.2020.00330
ImmunoHorizons
巻: 4 号: 12 ページ: 837-850
10.4049/immunohorizons.2000089
PLOS ONE
巻: 15 号: 11 ページ: e0234218-e0234218
10.1371/journal.pone.0234218
Monoclon Antib Immunodiagn Immunother.
巻: 39(4) 号: 4 ページ: 144-155
10.1089/mab.2020.0018
日本動物用医薬品協会会報
巻: 67(2) ページ: 1-10
40022176977
BMC Vet Res.
巻: 15(1) 号: 1 ページ: 380-380
10.1186/s12917-019-2082-7
Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother.
巻: 38 号: 6 ページ: 282-284
10.1089/mab.2019.0038
Monoclonal Antibodies in Immunodiagnosis and Immunotherapy
巻: 38 号: 5 ページ: 230-233
10.1089/mab.2019.0025
巻: 38 号: 4 ページ: 171-174
10.1089/mab.2019.0019
巻: 38 号: 3 ページ: 104-107
10.1089/mab.2019.0014
北海道獣医師会雑誌
巻: 63(8) ページ: 343-343
https://www.hokudai.ac.jp/introduction/pdf/R3_3_teireishiryo2.pdf
https://www.global.hokudai.ac.jp/blog/new-therapy-target-for-malignant-melanomas-in-dogs/
https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/02/pd-l1.html
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/210215_pr.pdf
https://www.hokudai.ac.jp/pr/hokudai_af2018.pdf
https://onehealth.vetmed.hokudai.ac.jp/news/220
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/37_topics/data/10101-40396304.pdf
https://www.global.hokudai.ac.jp/blog/developing-immunotherapy-to-save-animals/