研究課題
基盤研究(B)
プリオン病、アルツハイマー病など、タンパク質の異常凝集を伴う難治性の神経変性疾患では、小胞体ストレス、酸化ストレスなどに対するストレス応答が生じ、最終的には細胞機能が破綻して神経細胞死が生じる。神経細胞で生じる一連のストレス応答が明らかになれば、ストレス応答の制御による神経保護を標的とした治療法開発の道が開ける。研究代表者のグループは、プリオン感染マウスの視床の神経細胞で、ストレス誘導性の転写調節因子ATF3の発現が誘導され、神経細胞が脱落することを見出した。この現象を掘り下げ、プリオン病における神経変性機構の核心に迫る。
本研究では、ストレス誘導性の転写調節因子ATF3のプリオン病の病態機序への関与を調べた。プリオン感染マウスでは、神経細胞死が顕著に生じる視床と橋核で、有意にATF3陽性細胞が増加すること、およびその80%が神経細胞であったが、これらの領域ではアポトーシスは生じていなかった。視床におけるGPx4の量はプリオン感染により減少する傾向が認められ、ATF3陽性神経細胞では脂質の過酸化マーカーである4-HNEの蓄積が少なかった。従って、視床の神経細胞ではフェロトーシスにより神経細胞死が生じること、および、ATF3の発現誘導は、フェロトーシスを抑制する方向に作用することが示唆された。
難治性神経変性疾患の一つであるプリオン病における神経細胞死に、脂質の過酸化が誘因となるフェロトーシスが関与する可能性を世界で初めて見いだしたことは、学術的に大きな意義がある。また、フェロトーシスの抑制が神経細胞死の抑制につながる可能性があり、治療法開発戦略の新たな治療標的となる点でも社会的な意義も大きいと考えられる。
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