研究課題/領域番号 |
19H03136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南 直治郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (30212236)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 初期胚 / エピジェネティック修飾 / 遺伝子発現 / 細胞分化 / レトロウイルルス / マウス / MuERV-L / Prmt6 / キメラ転写産物 / 分化 / 受精卵 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / 全能性 / ヒストンアルギニン / MUERVL / H3R2 / ERV / H4K20me1 / マウス初期胚 / SETD8 / H4K20M置換体 |
研究開始時の研究の概要 |
マウスの受精卵においては、1細胞期あるいは2細胞期の各割球は単一の割球で個体までの発生ができる能力(全能性)を有している。その後、受精後4.5日の胚盤胞期までに胎子となる細胞と胎盤になる細胞に完全に分化する。受精前の精子と卵子は遺伝子発現を完全に停止した細胞であるが、受精後1細胞期の終わりに精子由来の核においてゲノムの活性化が開始され、4細胞期に進んだ時点で受精卵の各割球は将来胎子あるいは胎盤へと少しずつ分化を開始する。しかし、そのメカニズムについては多くの部分が不明である。本研究では、受精による全能性の獲得と最初の分化に関与するエピジェネティックな修飾とその制御メカニズムを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、マウス受精卵の発生におけるエピジェネティック修飾の機能解析を行うことを目的とし、標的となる修飾としてH3K20、H3.3R26、H3R2のメチル化について解析を行った。その結果、H3K20のモノメチル化が受精卵のゲノムの安定性に寄与していること、H3.3R26のメチル化が受精卵の細胞分化に寄与していることが明らかとなった。さらに、H3R2のジメチル化酵素であるPrmt6は発生初期にMuERVLとのキメラ転写産物を形成し、発生後期にはキメラ産物を形成しないことが明らかとなった。また、キメラ転写産物から生成されるタンパク質は割球を胎子系列の細胞に分化誘導することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、エピジェネティック修飾が初期胚の遺伝子の安定性に関与し、発生や分化を制御していることを明かにした。これらの事象を明かにすることで、受精という生命誕生の始まりから着床に至るまでの遺伝子発現がどのような分子メカニズムによって制御され、正常な発生が維持されているかを理解することができる。特に、本研究ではキメラ転写産物から作られるタンパク質が発生の時期によって本来のタンパク質とは異なる機能を持つことを世界で初めて明らかにした。これらの成果は、生殖補助医療の技術的改善にとっても貴重な情報であり、少子化対策にも大いに貢献できると考えられる。
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