研究課題/領域番号 |
19H03189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋口 秀男 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90165093)
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研究分担者 |
佐々木 一夫 東北大学, 工学研究科, 学術研究員 (50205837)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | モータータンパク質 / 心筋 / 鞭毛 / ミオシン / ダイニン / 心臓 / 振動 / 細胞 / 1分子 / 運動タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の振動運動において心臓であればミオシン、鞭毛ではダイニン、細胞分裂ではキネシンが主に関与している。振動に寄与する分子種は異なっていても、力学的性質に類似性が見られれば、周期運動を統一的理論によって理解できる可能性がある。そこで本研究では振動運動メカニズムを実験と理論の両面から統合的に理解するために,改良した装置を用いて精製モーター多分子による周期的な振動運動の高精度計測・1分子の弾性率を測定し、実験結果を統一的に説明できる振動理論および反応モデルを構築する。さらに、細胞にみられる振動運動を高精度で測定し、理論およびモデルを細胞用に修正を行い、細胞の振動運動も統一的に理解する。
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研究成果の概要 |
本研究では、生体にみられる振動運動のメカニズムを実験と理論の両面から統合的に理解を行った。心筋から精製したミオシン分子にみられる振動的運動を説明するために、3状態モデルを立て、シミュレーションを行ったところ、ミオシンの力を発生するのとは逆向きに反応が起こることが重要であることが推定された。心筋細胞の温度を数度あげると自励振動が起こるが、この振動を解析し、シミュレーションと突き合せたところ逆反応が重要であることが支持された。さらに、心筋から精製したミオシン分子を用いて、負荷をかけると逆反応が頻繁に起こる現象が確認され、逆反応と振動が密接に関係することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心臓の規則的な拍動は、周期的な電気信号で引き起こされることが定説となっている。しかしながら、心筋から精製した心筋細胞は、電気信号がなくても、温度を数度あげるだけで自励的な振動が起こることが観察された。本研究ではこの振動現象がどうして起こるかを、理論と実験の両面から解明を行った。シミュレーションにより、ミオシンが力を出すのと逆の反応が起こることが、振動に重要であることが示された。この示唆は、心筋細胞や精製したオシン分子を用いた実験結果によって支持された。すなわち、心臓はもともと振動する性質を持っており、電気信号は、おそらく振動を安定化する作用があると考えられる。
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