研究課題/領域番号 |
19H03216
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 徹也 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90513359)
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研究分担者 |
若本 祐一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30517884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 自己複製 / 細胞分裂 / 理論生物学 / リボソーム / 細胞系譜 / 定量生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
自己複製は生命に固有の特性であり、複製速度の個体ごとのゆらぎや継承が生存競争と進化の原動力となります。 しかし複製能とそのゆらぎが、自己複製を実現する分子反応によってどのように物理化学的に規定され、どのような進化的な帰結や法則につながるかの定量的理解は不十分でです。本研究は細胞の分裂系譜の実験技術と数理理論を組み合わせてこの問題に取り組みます。 本研究は、進化理論の物理的検証、進化過程の定量的理解、人工自己複製細胞の設計、細菌や癌細胞の潜在的増殖性や薬剤耐性の推定など広い基礎・応用の問題に貢献することが期待されます。
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研究成果の概要 |
本研究は細胞の自己複製に関連する性質をデータ解析・実験システム・数理理論を用いて多角的に特徴づける研究を行った。データ解析として、実験計測された細胞分裂時系列や細胞系譜時系列の情報をもとに、細胞の生きの良さをその隠れ状態として推定する機械学習手法および、細胞サイズの恒常性を決めているサイズ制御法則を時系列データから推定する深層学習手法を構築した。そして実験系として細胞内リボソーム量を経時観測する系を構築した。自己複製に関わる数理理論として、既存の細胞成長のモデルを熱力学と整合する形で拡張した自己複製の熱力学モデルを構築し、熱力学から自己複製に要請される制約を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自己複製は生物システムを非生物的な化学・物理システムと峻別する特性である。にも関わらず、自己複製が可能である、ということに付随する普遍的性質は明らかになっていない。またそれら自己複製の性質を適切に計測し特徴づける実験・解析手法も十分に整備されていない。本研究は自己複製を特徴づけ熱力学理論を構築し、また同時に細胞の自己複製のコアとなるリボソームを経時計測するための系を構築した。さらに経時的に計測された細胞の分裂動態から、その性質を隠れ状態や制御則の形で推定する手法の開発にも成功した。これらの技術はより定量的で精密な自己複製過程の理解に貢献すると期待される。
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