研究課題
基盤研究(B)
脳の重量は全体重の2.5%に過ぎないが、全身で使われるエネルギーのうち20%は脳で消費されると考えられている。実際に、虚血や低血糖症などによるエネルギー供給の低下によってまず脳の機能が急激に低下する。従って、脳が正常に機能するためにはエネルギー供給が厳密にコントロールされてなくてはならず、またそのメカニズムを知ることは虚血などから脳の機能を守る上での基礎的な知識となる。本研究ではニューロンへのエネルギー供給メカニズムについて研究を行う。
多くのエネルギーを必要とするニューロンの軸索においてATPの供給源の解明は、ニューロン活動の制御メカニズムの解明のみならず、加齢や疾患に伴う脳機能の低下メカニズムの解明においても非常に重要である。本研究において我々はミトコンドリアが持つDNAに着目し、ニューロンのメタボリズム制御メカニズムの解明をおこなった。
ミトコンドリアDNAは近年、様々な炎症やパーキンソン病の病因に関連することが明らかになりつつあり、その制御についての解明は非常に重要である。従って本研究によって明らかになった哺乳類大脳皮質ニューロンにおける特異的なミトコンドリアDNAの制御は、ニューロンのメタボリズム制御メカニズムの解明だけでなく広くミトコンドリア研究、疾患原因解明のための研究にインパクトを与えるものである。