研究課題/領域番号 |
19H03238
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
松尾 勲 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 病因病態部門, 部長 (10264285)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | マウス胚 / 細胞変形 / 上皮形態形成 / メカニカルフォース / 前後軸形成 / 子宮平滑筋収縮 / 細胞外マトリクス / 平面内細胞極性 / 平面細胞極性 / マウス / GRHL3 / 神経管閉鎖 / Prickle1 / USP39 / Ube1 / Wntシグナル / 機械的力 / ノンカノニカルWnt / 平面細胞内極性 / 表皮細胞分化 / 形態形成 / 機械的な力 / 卵円筒形成 / 子宮内圧 / 原子間力顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳動物胚は、受精後子宮内膜上皮に着床した後、子宮側組織に囲まれて形態形成が進行する。申請者等は、子宮から胚への圧力や細胞間・組織間にかかる力がマウス胚の正常発生に関与することを明らかにしつつある。しかし、初期胚発生過程において、子宮内や胚内の機械的力の大きさはどれほどで、どのように形態形成に働いているのかは依然として不明である。本課題では、子宮と胚の間、細胞と組織間でかかっている力を明らかにする。更に、同定した力学的環境を子宮内や子宮外培養下で変化させることで、機械的力が哺乳動物胚の形態形成に果たす機能を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、子宮筋収縮・弛緩によって生じる圧力が、妊娠初期からマウス胚にかかっていること、その圧力が着床直後の胚発生、特に前後軸形成に必要であることを明らかにした。一方で、胚体外膜で胚自身を覆うことによって、この過大な子宮内圧力から胚を保護していることを見いだした。また、神経管閉鎖過程で、細胞質のGRHL3は、平面内細胞極性経路を介した細胞形態の変化に働いているが、その際に脱ユビキチン化酵素であるUSP39が関与していることを見出した。USP39は、タンパク質分解経路を介してGRHL3を細胞質に局在させ、平面内細胞極性分子の発現を活性化して、GRHL3の細胞質内機能を仲介していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の成果は、妊娠初期に子宮筋収縮によって出産期と同程度の圧力が胚にかかっていること、その圧力は、胚を覆っている膜で適切に緩衝されることで妊娠が維持されることを示した最初の報告である。これらの結果は、原因が特定できない不育症や流産が子宮筋から胚にかかる圧力がうまく調整できないことで発症する可能性を支持する科学的な証拠と考えられる。また、妊娠と着床期の子宮筋運動性との間に関連性があることが臨床的にも示唆されていることから、今回の研究成果は、流産や不育症に関する新しい検査法や治療法、体外で胎児を正常に発育させる人工子宮など未来型の生殖医療技術の開発にもつながることが期待される。
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