研究課題
基盤研究(B)
受精は個体発生の原点である。研究代表者らは近年、植物において受精卵から始まる胚発生過程のライブイメージングに世界で初めて成功した。その結果、受精卵の極性化や胚のパターン形成がダイナミックかつ秩序だった様式で起こることを見出した。しかし、何が受精卵の極性化方向を決め、どのように細胞分裂パターンが決まるのかといった、本質的な点がいまだ謎のままである。そこで本研究では、高精細なライブイメージング解析によって、生きた受精卵や胚の内部で起こる現象を網羅的に可視化するとともに、大規模な遺伝子発現解析を行うことで、それらの現象を制御する遺伝子をも突き止める。
胚の上下軸の形成は、個体発生の原点である。しかし植物では、その過程の詳細はほとんど分かっていなかった。そこで、研究代表者らはシロイヌナズナを用いて、詳細なライブイメージングを進めた(Matsumoto et. al., 2021)。精細胞と卵細胞の融合を調べるために、精細胞のマーカー株を作出し(Shiba et. al., 2023)、受精卵は精細胞侵入点である細胞上部に向けて伸長することを突き止めた(Kang et. al., 2023)。加えて、化合物スクリーニングによって、受精卵の上下分裂を損なう薬剤も見出した(Kimata et. al., 2023)。
研究代表者らは、植物の受精卵が上下に極性化する動態をリアルタイムで観察することに成功した。さらに、細胞内のダイナミックな動きや制御が、上下軸形成の起点である受精卵の不等分裂に必須であることも突き止めた。多くの植物において、受精卵は上下に不等分裂することで植物体の上下軸を確立することから、本研究で見出された因子や明らかとなった仕組みは、植物に共通した原理であると期待される。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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