研究課題/領域番号 |
19H03261
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
水波 誠 北海道大学, 理学研究院, 教授 (30174030)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | 学習 / 昆虫 / 報酬 / オクトパミン / コオロギ / 報酬価値引き下げ / 行動の自動遂行 / パブロフ型条件付け / 微小脳 / 習慣記憶 / パブロフ型条件づけ / 古典的条件付け / 匂い学習 |
研究開始時の研究の概要 |
動物の条件づけでは、「動物は、無条件刺激(報酬)を欲する場合に、条件反応を示す」というのが一般的な原則である。ところが研究代表者は最近、コオロギにパブロフ型の条件づけ訓練を繰り返すと、動物が報酬を必要としない場合にも条件反応を行うようになることを発見した。繰り返し訓練による同様な学習行動の変容は、哺乳類のオペラント条件づけでは以前から報告され、「習慣形成」と呼ばれる。しかし、パブロフ型条件づけでの習慣記憶の形成はこれまで報告がなかった。本研究では、昆虫のパブロフ型条件づけ訓練の繰り返しで形成される記憶の性質とその神経機構を明らかにし、習慣記憶の動物の系統を超えた普遍的な特徴を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
コオロギの匂いと水の条件付け訓練において訓練の初期には報酬を十分に与えられたコオロギ学習した匂いを嗅がせても条件反応は起こさない。しかし訓練を繰り返すと、報酬を十分に与えても匂いへの条件反応が起こるようになる。このような「習慣形成」は哺乳類ではオペラント条件付けで起こるが、パブロフ型条件付けでは起こらない。本研究の結果、コオロギのパブロフ型条件付けで形成される習慣記憶の性質は、哺乳類のオペラント学習で形成される習慣記憶とは非常に異なることが分かった。さらに習慣形成の研究に有用な味覚嫌悪学習系の確立に成功し、習慣形成に関わるオクトパミンニューロンの活動のラベリング法の開発に進展があった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は私がコオロギを用いて発見したパブロフ型条件付けのにおける習慣形成について、その性質が従来調べられてきた哺乳類のオペラント学習における習慣形成とは非常に異なる性質を持つことを初めて明らかにしたものであり、動物の学習系の理解に大きく貢献するものであり、ヒトの学習訓練で起こる習慣形成の理解についても新たな洞察を与えた。昆虫の学習系に哺乳類の学習系にも勝るとも劣らない精妙な仕組みがあることを解明した本研究は、社会的にも大きなインパクトが予想される。
|