研究課題/領域番号 |
19H03270
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45010:遺伝学関連
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 准教授 (20221955)
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研究分担者 |
高橋 阿貴 筑波大学, 人間系, 准教授 (30581764)
高浪 景子 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 助教 (70578830)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | マウス / 野生系統 / ヘテロジニアスストック / 家畜化 / 遺伝子発現 / 神経細胞 / 行動遺伝学 / 従順性 / 神経回路 |
研究開始時の研究の概要 |
動物家畜化は人類の生活に大きな役割を果たしてきた。これまでの研究で、野生マウス由来の集団から動物家畜化に重要な指標の一つである能動的従順性について選択交配することで、遺伝的にヒトになついたマウス集団を新たにつくりだすことに成功した。 そこで本研究では、ヒトになついたマウスを活用して、社会性と能動的従順性との関連を明らかにすると共に、能動的従順性に関わる神経回路を明らかにする。次に、見つかった脳領域における発現遺伝子の網羅的解析を行い、発現遺伝子と社会性との関連がみられるか解析する。最後に、遺伝子改変マウスにより、能動的従順性と社会性との関連をより直接的に解析する。
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研究成果の概要 |
家畜化に重要な行動要素である人へのなつき行動について、野生由来マウスをもとに選択交配を進め、対象群と比較してなつき行動の高い集団を作製した。この選択群と対象群マウスの脳から採取した海馬を用いて抽出したRNAをもとにRNA-seq解析を行った。その結果、発現の有意に異なる137個の遺伝子を同定した。その中には、神経細胞が活動する際に初期に発現をするc-Fos遺伝子を中心とする遺伝子ネットワークが発現変化していることが分かった。さらに、社会性との関連が示されているオキシトシン受容体遺伝子の発現も変化していた。これらの発現の違いが社会行動やなつき行動に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
家畜動物は、人の生活上、作業を補助する目的で、また安定で安全な食糧の供給のため、更には最近では精神的な伴侶として欠かせないものとなっている。我々は野生マウス由来の集団から動物家畜化に重要な指標の一つである能動的従順性について選択交配することで、遺伝的に人になついたマウス集団を新たにつくりだすことに成功した。本研究では、人になついたマウスを活用して、社会性と能動的従順性の基盤となる遺伝子発現、行動、更には神経ネットワークに迫ることを目的として研究を進めた。家畜化のメカニズムの解明は新たな家畜の開発や改良において欠かせないものであるが、本研究はこうした課題に迫る内容であると言える。
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