研究課題/領域番号 |
19H03273
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
前川 清人 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (20345557)
|
研究分担者 |
沓掛 磨也子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (90415703)
矢口 甫 関西学院大学, 理工学部, 研究員 (10803380)
増岡 裕大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (80816950)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2019年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | 社会性昆虫 / カースト分化 / 兵隊 / 脱皮ホルモン / 幼若ホルモン / 次世代DNAシーケンサー(NGS) / RNA-seq |
研究開始時の研究の概要 |
真社会性の進化要因を知るには,共有派生形質である不妊カースト(アリ・ハチのワーカー,シロアリ等の兵隊)の分化機構を理解する必要がある。しかし,後者の比較解析例は無く,共通原理の有無は不明である。兵隊は,未成熟個体から特異的な形態変化を伴う脱皮を経て分化する。したがって,分化を促す共通した発生・生理基盤があるとの仮説を立て,シロアリとアブラムシを材料に,環境要因による内分泌環境の変化から特殊な形態形成の調節までの全貌を解明する。最終的には,兵隊の形態の多様化は,昆虫がもつ繁殖の内分泌的な制約からの解放が影響するという,利他的な表現型が進化しうる普遍的な共通原理の提唱を目指す。
|
研究成果の概要 |
一部の生物で獲得された真社会性の最大の特徴は,繁殖上の個体間の分業,即ち不妊カーストの存在である。進化の過程で最初に獲得された不妊カーストは,アリやハチではワーカーだが,シロアリやアブラムシでは兵隊である。本研究は,後者の兵隊分化にかかわる共通した発生・生理基盤を明らかにすることを目指した。兵隊分化の予定個体を用いた個別の解析の結果,少なくとも脱皮ホルモンのシグナル経路の特異的な活性化が重要であることが強く示唆された。また特にアブラムシでは,新規ゲノムや遺伝子発現情報など,利用可能なリソースを大幅に拡充することができた。今後これらを活用し,アリやハチとの共通点や相違点も明らかにする必要がある。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
代表的な社会性昆虫のシロアリやアブラムシでは,進化の過程で最初に獲得された不妊カースト(自らは繁殖しない利他的な個体)は兵隊である。系統的に離れた両者の兵隊分化には,共通した発生・生理的な基盤があるのかは不明だった。そこで,兵隊分化の予定個体を予め特定できる実験系を用いて,シロアリとアブラムシのそれぞれで解析を行った。その結果,どちらも脱皮ホルモン(エクダイソン)のシグナル経路が特異的に活性化することが重要であることが示唆された。一方,幼若ホルモンの役割には違いがある可能性も示された。アブラムシは特に分子情報が不足していたが,新規ゲノム配列を含む多くの重要なリソースを整備することができた。
|