研究課題/領域番号 |
19H03275
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
松浦 優 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (80723824)
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研究分担者 |
二橋 美瑞子 (長内美瑞子) 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (00422402)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2019年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 細胞内共生 / 菌細胞 / 昆虫 / 共生細菌 / 自然免疫 / 胚発生 / ナガカメムシ / RNAi / 脂肪体 / 細胞内共生細菌 / ヒメナガカメムシ / 自然免疫系 / ゲノム / カメムシ / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
動物は病原菌などの有害な外来微生物を排除する自然免疫系を有しているが、昆虫などの無脊椎動物は体内さらには細胞内にまで有益な微生物を積極的に取り込んで維持し、それらの生物機能を丸ごと獲得する細胞内共生を進化させている。ところが、動物の自然免疫と細胞内共生という一見相反する非自己制御機構が生体内でどのように線引きされ、進化してきたのかについては理解が進んでいない。本研究では昆虫の細胞内共生の成立と自然免疫系の制御に着目し、さまざまな遺伝学・細胞生物学的解析を駆使して、昆虫にとって非自己であるはずの共生細菌がいかなる免疫学的な制御機構により許容されるのかを解明し、細胞内共生の進化の謎に迫る。
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研究成果の概要 |
本研究では、ヒメナガカメムシを対象として、主に自然免疫関連遺伝子とUbx-RNAi処理により発現変動する遺伝子を母性RNAi処理して得られた胚を解析し、菌細胞形成不全を引き起こす新たな遺伝子を見出した。一方で、TollおよびIMD経路の液性免疫制御遺伝子は、前者で多数の胚発生異常が生じるが、菌細胞形成と関連がなく、ヒメナガカメムシの細胞内共生は液性免疫経路から独立した制御機構をもつことが示唆された。また、同様の現象は成虫の菌細胞でもみられその制御には関わっていないことが示唆された。他5種のナガカメムシの胚発生観察と菌細胞形成の多様性を解明し、これらの細胞内共生微生物のゲノム解析を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞内共生は、宿主生物が共生微生物をその代謝経路ごと取り込むことで複合的な生命体が進化するきっかけとなる非常に重要な現象であり、異物の取り込みと維持がいかに成立するかに興味がもたれてきた。本研究により、ヒメナガカメムシの菌細胞共生成立に必要と考えられる新規遺伝子を同定でき、また自然免疫系と細胞内共生が独立に制御されていることが示唆されたことから、研究の新たな展開につながった。今後、ナガカメムシの菌細胞共生成立の機構の解析と操作を通じて、動物に広くみられる細胞内共生現象の解明や害虫の細胞内共生の制御を介した新たな防除法の開発が期待される。
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