研究課題/領域番号 |
19H03285
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸山 宗利 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (80512186)
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研究分担者 |
金尾 太輔 山形大学, 理学部, 助教 (40758421)
岡本 朋子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50588150)
森 直樹 京都大学, 農学研究科, 教授 (30293913)
小松 貴 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 協力研究員 (30722011)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 適応放散 / ハネカクシ / 好蟻性 / 分類学 / 系統学 / 形態学 / アフリカ / 形態進化 / サスライアリ / マレーシア / ミャンマー / シロアリ / 分子系統学 |
研究開始時の研究の概要 |
サスライアリと共生する(一緒に生活するという広義の共生)ハネカクシ類は形態的に極めて多様であり、最近の分子系統学的研究により、それらが共通の祖先を起源とし、適応放散した可能性が高いことが示された。本研究では、サスライアリの分布の中心であるアフリカ地域で野外調査を実施し、行動観察、寄主アリを含む化学的分析、形態学的研究といった、共生関係の実態の解明を行い、ハネカクシ類が寄主であるサスライアリにどのように適応しながら種および形態の多様化を果たしてきたかについて明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、それまでコロナ禍によって実施することができず、本来の主要な研究計画であったアフリカおける調査を2回行うことができた。これがもっとも重要な研究実績である。具体的には2022年6月と2023年3月にカメルーンを訪れ、それぞれ2週間程度滞在して調査を行った。それぞれの調査において、100種近く、数千頭を超えるハネカクシ科甲虫をサスライアリのコロニーから採集し、系統学的に重要な種を一通り網羅できたほか、未記載種も20種程度見出すことができた。採集したハネカクシのなかには、今回の研究のもっとも重要な目標であり、系統的位置が不明だったPhyllodinardaも多数含まれていた。また、野外調査以外では、コロナ禍が始まってから、「ハネカクシ」「好蟻性」というキーワードを含むものに研究内容を拡充したため、日本産のハネカクシ科甲虫と、外国産他科のアリ共生昆虫に関して、分子系統学、記載分類学的な研究を中心に作業を行い、記載分類学的な研究については複数の論文を成果として発表することができた。具体的には、日本産ハネカクシに関しては、Plesiochara属、Homoeusa属、Eubadura属など、キノコ食、海浜性種など、多数の日本初記録や新種発表を含む論文を公表した。また、外国産好蟻性昆虫に関しては、ゴミムシダマシ科のRondoniella属、Platybolium属に関して分類学的な成果を発表した。また、学会発表に関しては、申請者の学生との共著を含め、日本昆虫学会等で複数の成果を公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の申請時はアフリカでの調査とその成果に基づく研究を予定していたが、コロナ禍でその延期を余儀なくされ、主要な研究はまったく進んでいなかった。その点、今年調査を行うことができ、いくつかの重要な種を採集できたことは大きな進展といえる。また、コロナ禍の影響を受けて、研究内容を「ハネカクシ」「好蟻性」というキーワードを含むもの広くに拡大したが、その成果に関しては、多数の論文を出版することができている、申請時の研究内容に限定すれば、やや遅れていると言えるが、研究内容拡充後の成果に関しては大きく進展があり、その点で、間をとって「おおむね順調」とした。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ようやく訪れることができたアフリカで得られた標本をもとに、しっかりとその解析(分子系統学的研究と形態学的、分類学的研究)を進める。最終年度分の繰り越し金をもとに、2023年度にふたたびアフリカ(ケニア等を予定)を訪れ、2022年度に採集できなかった分類群の発見を目指す。また、拡充した研究内容(「ハネカクシ」「好蟻性」というキーワードを含むもの)に関しては、引き続き研究を行い、日本産種を含むハネカクシ科甲虫の多様性解明を中心に進め、成果の発表を進めたい。まずは重要種の採集という重要な目的を果たすことを目標に、その情報収集、調査許可の申請等を進める予定である。
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