研究課題/領域番号 |
19H03287
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
林 文男 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40212154)
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研究分担者 |
二橋 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50549889)
土畑 重人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50714995)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 交尾行動 / 形質置換 / 種分化 / 種内変異 / 種間変異 / 色彩変異 / 交雑 / 種間交雑 / 進化 / 性選択 / 色覚 / 形質痴漢 |
研究開始時の研究の概要 |
トンボの成虫は基本的に視覚で相手を認識することから、体色や斑紋に著しい多様性が見られる。しかし、野外において種間交雑が起こることがある。種間交雑に伴う行動や形態の形質置換に関しては、生殖隔離の強度や近縁種間で体色が多様化した分子基盤は全く解明されていないのが現状である。そこで、本研究は、人為的交雑実験や集団遺伝学、遺伝子機能解析等の実験系を用いて、種間交雑を回避する生殖隔離の強度に地域差は見られるのか、近縁種間(あるいは近縁種の同所的集団と異所的集団間)で体色や色覚の分子基盤にどのような差異が生じているのか、という未解明の問いに取り組む。
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研究成果の概要 |
昆虫類の種分化機構はそれぞれの昆虫類の形態的・生理的・行動的特徴に応じて異なる。トンボ類では、色覚による種の認知機構が重要であるため、体色や翅の模様・色が種ごとに異なるパターンが進化する。しかし,野外では種間交雑が生じる場合があり,そのような近縁種においては,種間交雑によって、(1)雑種化(交雑によって一つの集団となる)、(2)形質置換(交雑が避けられるような色彩や形態の種間差が大きくなる),(3)完全な種分化(形態的,生理的にそれぞれが別種として存在する)が起こり得る。本研究では、トンボ類について,こうした3つの現象がどこまで普遍的であるのかを形態的比較と遺伝的解析によって明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の最大の特色は、体色や色覚に著しい多様性が見られるトンボ類について、形態だけでなく遺伝学的にもその機構を解明した点にある。特に、カワトンボ属では国内で種間の形態差が段階的に変化することに加えて、過去に交雑が生じていたことが申請者らの研究により明らかになってきたが、さらにそれを分布域全体で詳細に比較することによって、近縁種間の交雑に伴う形質置換だけでなく、雑種崩壊や完全な種分化を含む複雑な遺伝的・形態的構造をもつ集団からなることを明らかにした。つまり、昆虫類の体色が種分化に果たす役割は一律ではなく、流動的な生殖的隔離を内包することを明らかにした点で独創性の高い研究であると思われる。
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