研究課題/領域番号 |
19H03293
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東京大学 (2020-2022) 北海道大学 (2019) |
研究代表者 |
奥崎 穣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (40725785)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 寄生バエ / 送粉者 / オサムシ / 高山生態系 / DNAバーコーディング / 寄生者 |
研究開始時の研究の概要 |
高山環境において肉食性昆虫オサムシ類を宿主とする寄生バエの送粉効果を評価することを目的とする.その新規性は食物連鎖と送粉システムが連結した生態系を探求する点にある.高山生態系ではハエ類が主要な送粉者となっており,オサムシの寄生バエが送粉者として機能するのであれば,高山生態系は植物の一次生産によってボトムアップ的に維持されているのではなく,異なる機能群の生態学的な需要と供給が種間相互作用によって循環することで成り立っているということになる.本研究によって高山生物群集の環境変化に対する安定性を評価できるようになり,高山環境における生態系サービスや保全活動に新たな指針を示すことができる.
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研究成果の概要 |
高山帯のような寒冷な環境ではハエ類が主要な送粉者となるが,それらの幼虫の生態に関する知見は乏しい.訪花性のハエ類には幼虫期に寄生生活を送るものも含まれており,本研究ではその点に着目した. 北海道57地点から甲虫オサムシ属6745個体とその寄生者520個体を採集し,DNAバーコーディングを行ったところ,寄生者の多くが訪花性のヤドリバエ科と判定された.この寄生率は高山帯の他に,蛇紋岩地帯のように草花が優占する環境で高かった. オサムシ属は大型で個体数も多いため,ヤドリバエ科幼虫の好適な宿主であると同時に,花資源の多い寒冷地において相当数のヤドリバエ科成虫を送粉者として植物に供給していると見込まれる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
捕食性昆虫であるオサムシの寄生バエが送粉者として機能するのであれば,高山生態系は植物の一次生産によってボトムアップ的に維持されているのではなく,異なる機能群(生産者,植食者,捕食者,寄生者兼送粉者)の生態学的な需要と供給が種間相互作用によって循環することで成り立っているということになる.こうした捕食被食ネットワークと送粉ネットワークが連結した群集構造が高山生態系の安定性に貢献しているかもしれない.
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