研究課題/領域番号 |
19H03303
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70399327)
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研究分担者 |
石井 博 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90463885)
岡本 朋子 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50588150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 複雑花 / 進化 / 送粉者 / 開花密度 / 送粉成功 / 単純花 / 花形質 / 花の多様性 / 花の撮影 / 花の複雑性指標 / 花色 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、複雑な形をした花(複雑花)が、単純な形をした花(単純花)よりも適応的になる(より多く子孫を残せる)生態学的な条件を明らかにすることを目的とする。特に「複雑花は、同じ植物を選択的に訪花する性質(定花性)の強い送粉者へ花粉媒介を依存することで、植物の種多様性が高く、自種の開花密度の低い環境下で同種内送粉(自種の花を繰り返し訪れてもらうこと)を確実にするための適応である」という仮説を、複数の草原群集を詳細に調べ検証する。主に、「複雑花は単純花に比べて、定花性の強い昆虫により多く訪花され、競合する種が開花し、同種の開花密度の低い条件下でも確実に送粉に成功する」という予測を定量的に検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、菅平高原で植物の花筒長・花色データを取得し、他の5調査地のデータと合わせて解析を行い、マルハナバチ類など大型ハナバチやチョウ類の訪花が多い群集では、複雑花が多くなり、複雑花では野外で定花性の強い大型ハナバチの訪花が多く、単純花では定花性がやや弱いハナアブや小型ハナバチに多く訪花されていた。複数の単純花で、自種開花密度の増加に伴い送粉者の訪花頻度と受粉量が増加した。一方、複雑花では自種開花密度が送粉者の訪花頻度や受粉量に影響なかった。以上は概ね仮説を支持し、複雑花が送粉者のスペシャリスト化により自種の開花密度に影響されず安定した繁殖を行うメリットを持つことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で取り組んだ課題は、総説論文等で繰り返し議論された重要性な課題であるが、野外における実証研究は非常に少なかった。本研究は、申請者らが長年蓄積してきたデータに新データを加えた新しいデータセットで花形質と送粉者相の解析を定量的に行い、曖昧な議論がなされてきた仮説の頑強性について検討できた。まず、野外においてマルハナバチ類が小型ハナバチやハナアブに比べて定花性が高いことを定量的に示した点は新規性が高い。さらに、複雑花が低密度環境下でも安定した送粉成功を得ることができる点を複数の種を比較しながら明らかにした点も、送粉生態学の重要課題を解くのに必要な成果を得ることができた
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