研究課題/領域番号 |
19H03309
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
三木 健 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00815508)
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研究分担者 |
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
松井 一彰 近畿大学, 理工学部, 教授 (40435532)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | ツボカビ / 生態系内感染症 / 理論疫学 / 数理モデル / ツボカビ感染症 / 感染パラメータ / 生態系感染症 / スーパースプレッダー / 数理モデリング / 感染症 / 個体間差異 / 非ランダム分布 / 水域生態系 / 菌類 / 基本再生産数 |
研究開始時の研究の概要 |
感染症の流行を扱う疫学理論では、感染されやすさ等が宿主個体間で異なることが、感染症拡大を決める大きな要因であると言われてきた(=「個体間差異」の重要性)。しかし、ウイルスや寄生性菌類等の寄生者が原因で、生態系全体に影響を及ぼすような「生態系内感染症」については、個体間差異の存在が見過ごされてきた。そこで本研究では、植物プランクトン・寄生性菌類相互作用を代表例として用いて個体間差異を定量化し、その結果に基づく宿主・寄生者動態を含む生態系モデルを新たに構築する。これにより、これまで過小評価されてきた生態系内感染症が生態系全体の物質循環へ与える波及効果の予測をめざす。
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研究成果の概要 |
植物プランクトンとツボカビの相互作用について個体間差異について、培養実験・タイムラプス撮影と数理モデリングを組み合わせて以下の3つを明らかにした。1)宿主細胞当たりの多重寄生数の個体間差異は宿主細胞とツボカビ遊走子との非ランダムな相互作用(すなわち局所的な密度依存性相互作用)から生じる。2)宿主細胞上の既存の寄生がさらなる寄生を促進し、宿主細胞あたりの新規遊走子生産数が寄生数に応じて増加する。3)これらの個体間差異が、平衡状態における寄生率の双安定性を生じさせ、過渡的状態における急激な感染流行拡大を引き起こす。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動物や人間に関する感染症においては、スーパースプレッダーの存在など宿主の個体間差異が流行拡大のカギである。しかし、細菌に感染するウイルスや植物プランクトンに寄生するツボカビなど、生態系内での影響が大きい「生態系内感染症」については、個体群内の平均的特性を用いた研究しか進められていなかった。本研究で明らかとなった個体群差異の存在とその機構は、生態系内での感染症・寄生者の役割の理解の深化に貢献する。特に流行拡大の初期において検出可能なレベルまで感染率が上がるまでの期間が個体間差異の存在によって非常に長くなるという発見は、有用藻類の野外培養における感染症リスク管理の面でも意義が大きい。
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