研究課題/領域番号 |
19H03311
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古賀 章彦 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 教授 (80192574)
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研究分担者 |
田辺 秀之 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 准教授 (50261178)
飯田 敦夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90437278)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2019年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 適応 / ゲノム / サテライトDNA / ヘテロクロマチン / 染色体 / 内在性レトロウイルス / 反復配列 / 霊長類 / 視細胞 / 有袋類 |
研究開始時の研究の概要 |
夜行性の哺乳類の多く(マウス、ムササビなど)で、微弱な光を捕らえる視細胞の核に、特殊な構造が存在することが、知られている。これが光を集めるレンズとして機能し、夜間視力の増強をもたらす。昼行性の生活様式を示す真猿類(霊長類のうち、ヒトやニホンザルを含む大きなグループ)にあって、ヨザル(夜猿)は、唯一の例外である。過去に昼行性から夜行性に移行している。この移行に伴い、ヨザルは視細胞に、核の特殊な構造を獲得した。この獲得の進化的過程に関して、ゲノムの構成や環境条件などの点で必要であった条件を、調べる。その結果から、条件さえそろえば同様の適応が霊長類全般(ヒトを含め)で起こり得るかを、推測する。
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研究成果の概要 |
昼行性から夜行性への移行に関連して、夜間視力の増強につながる適応が、霊長類のヨザル(夜猿)で観察されていた。視細胞の中での微小レンズの形成である。この現象に関して、ヨザルでの過去のゲノム構成の変遷、および、より広い範囲の生物種での一般性を、追求した。以下の知見が得られた。[1] 短期間(ヨザルとマーモセットの分岐以降)で進行した。[2] サテライトDNA(同じ塩基配列が繰り返し現れる領域)の新規形成および急速な増幅を伴っていた。[3] 新規サテライトDNAが短期間で増幅する例を、有袋類で見出した。以上から、サテライトDNAが関与するホスト生物の適応は広く起こり得るとの推察に至った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
適応進化にはゲノムの変化が伴う。真核生物のゲノムにはほぼ例外なく、従来の概念での遺伝子のほかに、サテライトDNAが大量に存在する。その機能が続々と明らかにされているものの、適応進化に直接関わったといえる例は、ほとんどない。この状況にあって、ヨザルでの視細胞内微小レンズの形成は、サテライトDNAがもたらす適応進化の明瞭な例である。進化の観点からは、これがヨザルに限られるのかとの疑問が、順当に生じる。この疑問に応えるための実験や解析を行い、広い範囲の生物種で同様の適応進化が起こり得るとの推測に至った。この先の課題としての具体的な実例の同定に、効率的な解析手法の選定の指針を、提供することになる。
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