研究課題/領域番号 |
19H03349
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
杉山 弘 京都大学, 理学研究科, 教授 (50183843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2019年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | Transcription therapy / Epigenetic codes / Mitochondria / Reactive Oxygen Species / Energy metabolism / Nanoparticle / Immunotherapy / Heteroplasmy / ピロールイミダゾールポリアミド / エピジェネティクス / 人工転写因子 / ナノテクノロジー / 心筋症 |
研究開始時の研究の概要 |
心筋症において近年、ミトコンドリアで産生される過酸化酸素種(ROS)および関連するシグナル経路とエピジェネティック制御の重要性が明らかになっている。これには核およびミトコンドリア遺伝子が協奏的に関わっているが、これらを適切に制御する手法はいまだ報告がない。天然転写因子がエピジェネティックコードと呼ばれるタンパク修飾を利用して様々な制御を行っていることを踏まえ、本研究ではナノ粒子上にさまざまな機能性化合物を導入することでこれを模した人工転写因子 SMART-TFの開発を行う。これによりROSレベルおよび細胞内エネルギー代謝を制御し、心疾患治療に革新的なストラテジーを提供できると考えられる。
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研究成果の概要 |
本期間においてオンデマンドで核・ミトコンドリア遺伝子を調整するSMART-TFの開発に成功した。特定のDNA配列の認識するSMART-TFを作成し、テロメアダイナミクスの観察を行った。更に、幹細胞の心筋形成促進・脳腫瘍幹細胞転写変化・マウスでの腫瘍転移抑制可能な各SMART-TFの生物学的有効性を実証した。加えてミトコンドリア生合成を標的としたSMART-TFでは、エネルギー代謝を担うAMPK経路の制御やマウスでのPD-1遮断免疫療法についての検証も行っている。他にも生細胞内の変異ミトコンドリアDNAの標的除去を可能とし、ナノ粒子ベースの細胞活性酸素種生成の変化も観察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、核とミトコンドリアが担うエネルギー代謝を特異的に調節する手法は存在していない。 SMART-TFでのAMPKの制御能を実証した本研究は、マスター調節因子が遺伝子転写を変更せずに正確にオンとオフを切り替える「転写療法」と呼ばれる新たな手法開発の可能性を示している。近年、伝染病・非伝染病への核酸ベースの治療法が多々報告されている。従来の治療法は、タンパク質間相互作用を対象とし、多くは患者間で異なる効果をもたらす。我々の核酸ベースの標的治療薬は、患者間で一貫した長期的な効果が期待されるという大きな利点がある。これらは情報学的手法を用いて、精密医療の分野での有用なツールとしての応用が期待される。
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