研究課題
基盤研究(B)
タンパク質に結合している糖鎖は、タンパク質の品質管理、細胞間の接着、タンパク質の安定化など様々な役割を果たしている。糖鎖は一般に枝分かれ構造を有しており、そこから生み出される糖鎖の多様性は機能と密接に関係していると予想される。本研究では糖鎖の枝分かれ構造に着目し、核磁気共鳴(NMR)法を中心とした物理化学的手法により、分岐糖鎖とタンパク質の相互作用の構造基盤を明らかにすることを目的とする。
糖鎖は枝分かれ構造を有し、その化学構造を明らかにするのは容易ではない。本研究では、原子レベルの構造情報をもたらす核磁気共鳴(NMR)法を糖鎖に適用する際の測定方法について検討を行った。NMRシグナルの分裂を回避する手法を用いることにより、5糖からなるモデル糖鎖に由来するNMR信号を曖昧なく同定することができた。その糖鎖・糖ペプチドの役割を明らかにするためには、タンパク質との相互作用様式を解明する必要がある。本研究では、モデルケースとして抗体を対象とし、NMR解析結果を組み入れたドッキングの手法を検討した。NMRデータ量に依存するものの、ドッキングの再現性・精度を高めることができた。
生体分子である糖鎖の複雑な構造を明らかにすることは容易ではなく、その迅速かつ確実な構造解析が望まれている。本研究では、核磁気共鳴(NMR)法において測定方法を検討することにより、糖鎖に由来するNMR信号を曖昧なく同定することが可能になった。本成果は、糖鎖の生理的機能の解明に貢献する。また糖鎖の役割を明らかにするためには、タンパク質との相互作用の様式を明らかにする必要がある。本研究では、NMR解析結果を組み入れたドッキングの手法を検討することにより、最小限の実験結果からドッキングモデルを構築することに成功した。本成果は、糖鎖を認識する抗体の合理的デザインなどに応用することが可能である。
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すべて 雑誌論文 (40件) (うち国際共著 10件、 査読あり 32件、 オープンアクセス 25件) 学会発表 (42件) (うち国際学会 6件、 招待講演 13件)
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