研究課題
基盤研究(B)
C-RASSFは活性型RASに結合すると細胞死、細胞周期を惹起する。ヒトがんはしばしば、C-RASSFの発現の低下を伴い、その低下は予後の悪化と相関することも、C-RASSFの腫瘍抑制分子としての重要性を支持する。しかし、C-RASSFは腫瘍源性をもつ変異RASのみならず、GTPに結合した野生型のRASにも結合するので、生理的RASシグナルにおいても役割をもつはずである。本研究ではC-RASSFの中でもRASSF6を取り上げ、生理的RASシグナルにおける役割を解析する。
腫瘍抑制分子RASSF6がDNA損傷刺激やRASの腫瘍源性ストレスのもとにp53を活性化する分子機構を明らかにした。また、RASSF6の欠損がNF-kBシグナルの増強により炎症を惹起する可能性も明らかにした。転写因子TEADと共役し発がんに関係するTAZとYAP1(腫瘍抑制シグナルHippo pathwayにより負に制御される分子として知られる)に関しては、TAZの細胞核内移送に関わる分子を明らかにし、YAP1が熱ショックの下で細胞核内に集積されNF-kBシグナルを活性化させること、PKCによりリン酸化されるとp73と共役して腫瘍抑制的に働くことを明らかにした。
多くのヒトがんにRASSFの機能欠損が認められ予後不良因子となっている。本研究の知見はRASSF6のみならず全てのRASSFに当てはまると予測される。本研究成果はRASSF機能欠損をもつヒトがんがなぜ治療に抵抗し悪性化するのかという問題の解明に貢献する。RASSFの欠損が炎症の増強を通じて、発がんの母地となり、がんの成育を促進するほか、代謝性疾患にも関係する可能性も明らかにした。CSE1Lががんを悪性化させる分子機構を明らかにした。YAP1が温熱応答に寄与するという予測外の事実を明らかにした。PKC活性化剤がYAP1に腫瘍抑制機能を付与し、がん治療薬として応用できる可能性を明らかにした。
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