研究課題
基盤研究(B)
創薬ターゲットとして知られているGPCRは細胞外からの生理活性物質と結合すると細胞内の種々のシグナル伝達因子と結合し、それらを活性化する。G蛋白質とアレスチンの2つの異なるシグナル伝達経路の一方を選択的に活性化するリガンド(バイアスリガンド)が知られており、副作用のない治療薬として期待されている。本研究では、GPCRとG蛋白質あるいはアレスチンとの複合体のX線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡単粒子解析を行い、その構造情報からGPCRのG蛋白質およびアレスチンを介したシグナル伝達機構および作動薬結合様式を解明する。さらに構造情報をもとにした迅速で合理的なバイアスリガンドの開発とその技術の発展に貢献する。
数種類あるGタンパク質のうち、OX2R,EP3それぞれと最も安定な複合体を形成する条件を選別する。EP3-GiおよびGo,G13複合体、OX2R-Gi/o複合体について条件検討を重ね、安定な複合体条件を見出しており、EP3-GiについてはCryo-EM SPAにより3.4 A分解能で構造決定できた。我々のグループでは別のサブタイプEP4-Gタンパク質との複合体構造も決定しており、Gタンパク質の種類が異なることからプロスタグランジン受容体のGタンパク質選択性の構造基盤について薬理学的解析を加えることで議論した論文を出版した(Suno R., Cell Reports, 2022)。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は創薬ターゲットとして知られており、その構造情報は副作用のない薬剤の合理的な開発に有用な情報となる。一つのGPCRに対してGタンパク質やアレスチンなどのシグナル伝達因子を活性化することで生体内に異なるシグナルを伝達する。これらを制御することで目的の薬剤効果を発揮し、副作用を軽減することが期待される。本研究では異なるGタンパク質を活性化する2種のプロスタグランジン受容体の構造を決定し、これらのシグナル伝達の選択性に重要なアミノ酸を発見した。この研究技術は構造情報の有用性を示しており、他のGPCRにも応用できる。
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