研究課題
基盤研究(B)
タイトジャンクション(TJ)は、上皮細胞の細胞間透過性を制御する、生体内唯一の細胞間接着装置である。しかし近年の研究成果は、TJ形成の構成単位分子であるクローディン分子(Cldn)分子が、細胞増殖や分化・極性異常・臓器組織の構造決定・がんのイニシエーションなど、多細胞生物システムを上流から操作するオーガナイザーとして働くことを示す。しかしそのメカニズムは殆ど解析されていない。本申請では、Cldnを専門に研究を重ねてきた申請者が、胃に腫瘍を形成する胃型Cldn18欠損マウスに焦点を当て、Cldn分子の腫瘍形成の直接的・間接的なオーガナイザーとしての機能と、がん抑制操作法の開拓を目指す。
細胞膜貫通タンパク質であるクローディン(Cldn)を中心に構築されるタイトジャンクション(TJ)は、胃の表面の上皮細胞間に存在し、胃酸の粘膜下への漏出を防ぐ重要なバリア構造である。胃では、胃型Cldn18.2がTJの構築に重要で、KOマウスにおけるその欠損は、若齢では胃炎に、加齢にともない胃腫瘍の発生につながる。申請者らは、本マウスの解析により、ヒトの胃がんでも、Cldn18.2の減少と、その結果として生じる幹細胞性の亢進が、胃がん発生の過程として重要である可能性を示唆した。本研究では、類似の所見として、TJ関連COBL変異マウスでのバリア障害と胃炎についても解析した。
胃がんの多くは、ヘリコバクターピロリ菌の感染と、ピロリ菌により産生されるCagA因子およびその下流シグナルによる細胞増殖や細胞極性の異常化が重要であると考えられている。クローディン欠損が、ピロリ菌感染胃炎と類似の病態を示すことから、胃がんの発生に、タイトジャンクションを介する過程が非常に重要である可能性が示唆された。今後、胃がんをはじめ、他種のがんにおいても、治療標的としてのCldnの可能性の検討が期待される。
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