研究課題
基盤研究(B)
Candida albicansは腸管内で常在する真菌であるが、腸内細菌叢の攪乱や宿主の免疫力が低下した状況では腸管内で異常に増殖し、危険な感染症の一つである侵襲性カンジダ感染症の要因となる。本研究では、腸内細菌と自然免疫細胞の一つである3型自然リンパ球に着目し、腸管におけるC. albicansの定着・増殖抑制機構の解明を試みる。特に嫌気培養装置を用いて腸内細菌を分離し、C. albicansの増殖を抑制する腸内細菌および腸内細菌由来因子を同定する。本研究は微生物の腸内定着機構という生物学的に重要な意義を有するのみならず、腸内細菌を応用した予防・診断・治療法の開発に繋がることも期待される。
本研究では、病原性真菌の腸管定着を阻害する腸内細菌と宿主免疫細胞の役割について解析を試みた。その結果、in vivoにおいて特定の腸内細菌がCandida albicansの腸管定着を阻害することを見出した。この腸内細菌は、Candida属真菌の増殖を阻害する液性因子を産生する。さらに、3型自然リンパ球がLTaを介して二次リンパ節の形成を促し、CD4陽性T細胞の分化・増殖を誘導することで、C. albicansの腸管定着を阻害していることを見出した。以上の結果から、腸内細菌ならびに宿主免疫細胞が、病原性真菌の腸管定着を阻害する防御バリア機構を担っていることが明らかとなった。
腸内細菌は種々の病原性微生物の腸管定着を阻害する効果、”colonization resistance”効果を有することは以前より知られていたものの、そのメカニズムの多くは不明であった。本研究により、腸内細菌よる病原性真菌の定着阻害機構の一端が明らかとなった。さらに、宿主免疫細胞も病原性真菌の定着を阻害していることを明らかになった。病原性真菌は、HIV感染、臓器移植、抗ガン剤投与患者、高齢者など免疫力が低下したヒトにおいて、難治性感染症である侵襲性真菌症を誘導する微生物であり、本研究において見出した知見が新規抗真菌治療方法の確立に繋がることが期待される。
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