研究課題
基盤研究(B)
本研究計画では、以下の科学的問いを実験的に検証する: ① シチジンデアミナーゼAPOBEC3は、Bリンパ球の核内に局在するか?APOBEC3発現や核内局在は、レトロウイルス感染によって誘導または増強されるか?AID欠損下では、その機能を補うためAPOBEC3が核内に局在するようになるか?AID/APOBEC3両欠損下でもウイルス中和抗体が産生されるか? ② APOBEC3はウイルス抗原特異的B細胞を感染から保護することにより、中和抗体産生能を維持させるのか? ③ Rfv3遺伝子の実体は本当にAPOBEC3多型か?中和抗体産生を制御しているのは、連鎖する別の遺伝子ではないのか?
ウイルス中和抗体産生を制御する宿主因子の解明は、効率的なワクチン開発に必須である。我々はマウスレトロウイルス感染時に中和抗体産生を制御する宿主遺伝子の同定過程で、レトロウイルス複製制限因子APOBEC3の多型を見出した。そこで、APOBEC3がBリンパ球で直接抗体産生を制御しうるか解析した。APOBEC3タンパク質は生体内でBリンパ球に検出され、その発現は胚中心細胞で特に高かった。しかし、APOBEC3は核には分布せず、抗原刺激後もその発現量は変化しなかった。APOBEC3存在下ではウイルス粒子に不全型が増え、Bリンパ球が感染から護られることと相まって、抗体産生に結び付くと考えられた。
従来解析が困難であったAPOBEC3の生体内局在を、CRISPR-Cas9法によるタグノックインマウス作製で初めて明らかにした。APOBEC3がウイルス中和抗体産生を制御する機構として、Bリンパ球における体細胞突然変異誘発の関与が仮定されていたが、否定的となった。このノックインマウスは、今後炎症や発がん過程におけるAPOBEC3発現と局在の変化を解析するのに有用である。ウイルス中和抗体産生制御機序の解明は感染防御ワクチン開発の基礎であり、今回Bリンパ球におけるウイルス感染制限と不全粒子による免疫刺激が示唆されたことから、サブユニットワクチンやmRNAワクチンの優位性が支持される。
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