研究課題
基盤研究(B)
胸腺は、免疫系の司令塔であるT細胞が成熟する「場」となる臓器であり、ユニークな三次元ネットワーク構造をなす微小環境をもつ。本研究では、胸腺微小環境を構成する様々なストロマ細胞を網羅的に同定し、その機能を理解することをめざす。特に、胸腺に存在する固有の線維芽細胞がT細胞の抗原認識と自己免疫の防止に重要な役割を果たすという仮説を検証する。本研究の成果は、T細胞を中心とする免疫系の基本原理の理解を通して、自己免疫の抑止や抗腫瘍免疫の向上に必要な基盤情報を提供し、医学の発展に大きく寄与する。
私たちの体を感染症やがんから守るT細胞は、胸腺の微小環境のなかで生成される。本研究では、胸腺の微小環境を構成するストロマ細胞を全て同定し、分子マーカーや遺伝子発現などの基盤情報を整備した。特に、胸腺の髄質に存在する新規の線維芽細胞を見出し、それらがT細胞の自己寛容(自己免疫の抑止)に重要であることを明らかにした。本研究の成果は、自己免疫疾患の原因解明や治療法開発、および生体内の様々なタイプの線維芽細胞の機能解明に大きく貢献すると期待される。
T細胞は私たちの免疫系の司令塔であり、その抗原認識能力がつくられる基本的なしくみを理解することは、感染症やがん、自己免疫疾患の治療の観点から重要な課題である。本研究では、T細胞の抗原認識を決定づける胸腺微小環境のはたらきについて研究し、新たに見出した髄質線維芽細胞がT細胞の教育と自己免疫の防止に重要であることを明らかにした。本成果を手がかりとして、自己免疫疾患の原因解明や治療法開発につながると期待される。
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すべて 国際共同研究 (10件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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