研究課題/領域番号 |
19H03490
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
金関 貴幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50531266)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 腫瘍免疫 / 抗原 / HLA / T細胞 / 免疫治療 / ノンコーディングRNA / 腫瘍抗原 / 免疫監視 / がん抗原 / プロテオゲノミクス / Cancer Antigen / Antigen Processing / Cancer Immunotherapy / Non-coding RNA |
研究開始時の研究の概要 |
CD8+ T細胞(CTL)は標的細胞のペプチドとHLAクラスI複合体を認識する。CTLによるがん識別システム解明のため、我々はプロゲオゲノミクスHLAリガンドーム系を確立し、大腸がんHLA-A24に提示されるペプチド群のなかからlong non-coding RNA(lncRNA)に由来するペプチドを同定した。同ペプチドは特異的かつ効率的にがん細胞を認識・傷害するCTLを誘導可能であり、新しいタイプの治療標的抗原となりうる。本研究では、lncRNAがん抗原が細胞内で翻訳されHLA提示される基礎的メカニズムを解明し、がん免疫領域の新しい研究基盤確立を目指す。
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研究成果の概要 |
プロテオゲノミクスHLAリガンドーム解析法を用い、ヒト大腸がん組織HLAに提示される抗原ペプチドを網羅的に探索した。興味深いことに、全体の5%近くが既知プロテオームに登録のないユニークな配列であった。さらに正常粘膜ではなくがん組織でHLA提示される「がん抗原」を探索し、lncRNAがん遺伝子PVT1に由来するペプチドを同定した。同抗原は免疫原性が高く、患者と健常人T細胞反応を誘導した。PVT1抗原に対するT細胞反応は、がん細胞のNonsense mediated RNA decay(NMD)経路を阻害すると、さらに増強した。新しいがん抗原クラスと新しい抗原制御メカニズムを発見できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
T細胞はHLA提示された抗原ペプチドを認識し、腫瘍を拒絶する。抗原ペプチドはT細胞反応を導くカギの役割を果たす。既存の免疫チェックポイント阻害剤はどれも対象腫瘍のMHC提示ペプチド配列を考慮しない治療法である。しかし、適切な抗原配列を取得し標的として治療に組み込むことができれば、免疫治療効果の改善・上乗せを期待できる。本研究では世界に先駆けてlncRNAにコードされる新しいがん抗原クラスを発見し、その抗原提示メカニズムを明らかにした。免疫治療の新しい標的として、標準治療の創出につながる発見と考える。
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