研究課題/領域番号 |
19H03505
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村井 純子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (60532603)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / 複製 / DNA修復 / DNAダメージ / 複製ストレス / SLFN11 / バイオマーカー / がん遺伝子 / 抗がん剤 / トランスジェニックマウス / がん / がん抑制因子 / DNA損傷 / PARP阻害剤 / 白金製剤 / 細胞周期 / 薬剤耐性 / MYC / クロマチン / プラチナ感受性 / 抗がん剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
DNA複製の異常(複製ストレス)は、がん遺伝子の活性化やDNA障害型抗がん剤など様々な原因によって引き起こされ、遺伝子変異やがん化の促進、がんの薬剤耐性獲得の要因となる。よって、複製ストレスにさらされる細胞を排除することができれば、がんの発症、進展、再発の抑制が可能となる。近年、全く新しい複製ストレスの抑制因子として特定されたSchlafen 11(SLFN11)について、がん抑制遺伝子としての機能を細胞レベルと個体レベルで検証する。特に、マウスにSLFN11のホモログが見つかっていないことから、SLFN11の遺伝子導入マウスを作成し、がん抑制機能を研究する。
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研究成果の概要 |
DNA障害型抗がん剤の感受性を飛躍的に高めるSLFN11について研究した。SLFN 11がクロマチン構造を変化させ、免疫やストレス応答に関する遺伝子発現を高めることを報告した。ヒト正常Bリンパ球の分化段階におけるSLFN 11の発現変化を報告した。SLFN 11の発現制御因子やB細胞由来血液腫瘍の抗がん剤選択に繋がる発見である。SLFN11とある種のがん遺伝子とは共存できないことを明らかにし、SLFN11ががん抑制遺伝子として機能する可能性を裏付けた一方で、正常に比べてがん細胞でSLFN11の発現が高まるケースが多々あり、SLFN11を単純ながん抑制遺伝子として考えるのは難しいことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
半世紀の間、化学療法の第一線で使用されている白金製剤などのDNA障害型抗がん剤に、いまだ効果予測バイオマーカーが存在しない中、薬剤感受性増強作用を持つSLFN 11はバイオマーカーとして期待されている。本研究成果により、SLFN 11がどのがん種でどの程度の割合で高発現しているのかを明らかにでき、今後どのがん種についてSLFN 11研究を進めていくべきかの道筋が立った。また、SLFN 11の新たな機能や正常細胞での発現制御を明らかにできたことから、抗がん剤のSLFN 11を介した新規作用メカニズムや、抗がん剤の感受性を高める戦略を提唱できた。SLFN 11を標的とする抗がん治療の土台を築いた。
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