研究課題
基盤研究(B)
ヒストン修飾の異常はがんエピゲノムにおいて重要な意味を持っている。エピゲノムは重要ながん治療標的として期待されており、DNAメチル化酵素阻害剤やヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が臨床応用されている。我々はヒストンH3リジン79(H3K79)メチル化酵素であるDOT1Lの阻害が、多発性骨髄腫細胞においてMYCやIRF4など重要ながん遺伝子の発現を抑制することで、高い抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。本研究ではこの知見を発展させ、様々な悪性腫瘍に対するDOT1L阻害の抗腫瘍効果とそのメカニズムを明らかにすることを目指す。
我々はヒストンH3リジン79メチル化酵素DOT1Lの阻害が、多発性骨髄腫細胞においてMYCやIRF4などを抑制することで、抗腫瘍効果を示すことを報告した。DOT1Lは様々な固形がんにおいても高発現し、発がんに関与することが明らかにされつつあるが、その役割については不明な点が多い。本研究ではDOT1L阻害の抗腫瘍メカニズムを明らかにし、臨床応用につなげることを目的とした。各種固形がん細胞に対するDOT1L阻害の抗腫瘍効果を検証した結果、乳がん細胞に対する増殖抑制効果を見出した。さらにDOT1L阻害が、ERやMYCシグナルを抑制し、かつインターフェロンシグナルを活性化することを明らかにした。
エピジェネティックな修飾は、その可塑性から有望な治療標的と考えられている。我々はDOT1L阻害が、多発性骨髄腫や乳がんに対し高い抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。DOT1Lの阻害は、MYCやERBB2などのがん遺伝子の転写抑制に働くことから、抗腫瘍効果につながると考えられた。さらに我々は、DOT1L阻害がインターフェロンシグナルや免疫応答関連遺伝子を活性化すること、そして内在性レトロウイルスの活性化がそのメカニズムの一つであることを見出した。本研究から、これまで知られていなかったDOT1L阻害による抗腫瘍効果メカニズムを明らかにした。
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