研究課題
基盤研究(B)
我々は、世界に先駆けて、単なる解糖系の終末代謝産物であると考えられていたがんから放出される乳酸が、がん周囲の異常な免疫環境を形成するのに関与する事を発見した。乳酸が、骨髄系細胞やマクロファージに働き、4つのシグナル経路を活性化することを明らかにしてきた。すなわち、乳酸イオンによる IL-23 産生依存的及び非依存的炎症誘導経路、乳酸とともに放出されるプロトンによる免疫抑制経路、乳酸とプロトンによるエピジェネティック変化である。本研究では、乳酸シグナルの関与するヒトがん組織に浸潤する骨髄系細胞と乳酸の関連性の解析を進めると共に、乳酸シグナルに関わる分子をターゲットにした治療法の開発を目指す。
我々は、これまでに、世界に先駆けて、単なる解糖系の終末代謝産物であると考えられていたがんから放出される乳酸が、がんの異常な免疫環境を形成するのに関与する事を発見してきた。今回、乳酸による免疫細胞に対する効果として、B細胞にいて、乳酸によるヒストンH3K27のアセチル化が亢進し、Breg細胞数を増加させ、IL-10産生を増強した。また、乳酸によるTLR刺激依存的なIL-23/IL-17経路の亢進に関わるシグナル経路を明らかにするために、CRISPR/Cas9ライブラリーをスクリーニングし、5つの遺伝子を同定した。今後、乳酸シグナル経路の全容を解明し、がんの進展への関与を明らかにする。
がんの代謝の変化は、がんの大きな特徴の1つであり、がんの環境を作り出すのに大きく関与している。それゆえ、第4の治療として確立された免疫チェックポイント阻害剤の効果を左右すると考えられる。我々は、解糖系の終末代謝産物であると考えられていたがんから放出される乳酸が、免疫細胞の機能に大きく影響を与える事を明らかにしており、今回、そのシグナル経路の一部を同定した。本研究は、がんの代謝の変化を標的にした第2、第3のがん免疫療法開発のために貢献できる研究となると考えられる。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 3件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 7件) 備考 (3件)
Vaccine
巻: 40 号: 10 ページ: 1448-1457
10.1016/j.vaccine.2022.01.048
J Clin Immunol
巻: 41 号: 3 ページ: 691-693
10.1007/s10875-020-00959-4
Medicine
巻: 100 号: 13 ページ: e25265-e25265
10.1097/md.0000000000025265
Frontiers in Immunology
巻: 12 ページ: 695037-695037
10.3389/fimmu.2021.695037
120007124372
Immunological Medicine
巻: - 号: 4 ページ: 274-277
10.1080/25785826.2021.1905303
J Dermatol.
巻: 48 号: 5
10.1111/1346-8138.15853
Internal Medicine
巻: 59 号: 1 ページ: 93-99
10.2169/internalmedicine.3315-19
130007779300
Auris Nasus Larynx
巻: - 号: 4 ページ: 658-667
10.1016/j.anl.2020.01.002
Blood Ad.
巻: 4 ページ: 5755-5761
ACS Chem Biol
巻: 15 号: 2 ページ: 360-368
10.1021/acschembio.9b00743
PLOS ONE
巻: 14 号: 6 ページ: 0219065-0219065
10.1371/journal.pone.0219065
The Journal of Clinical Investigation
巻: 129 号: 12 ページ: 5123-5136
10.1172/jci123501
British Journal of Dermatology
巻: 181 号: 3 ページ: 448-449
10.1111/bjd.18229
https://www.wakayama-med.ac.jp/med/moleculargenetics/
https://researchmap.jp/read0166150
http://www.wakayama-med.ac.jp/dept/igakubu/1606031/index.html