研究課題/領域番号 |
19H03556
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 獨協医科大学 (2022) 東京医科歯科大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
頼 建光 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80334431)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | WNKキナーゼ / 慢性腎臓病 / FOXO4 / NKCC1 / Na-K-Cl共輸送体1 (NKCC1) / ループ利尿薬 / Na-K-2Cl共輸送体1 (NKCC1) |
研究開始時の研究の概要 |
WNK キナーゼは、遺伝性高血圧疾患である偽性低アルドステロン症 II 型の原因遺伝子であり、腎臓での塩分出納、血管トーヌスの調節、脂肪細胞の分化制御など生体の恒常性維持に深く関わる。WNK の下流分子の一つである輸送体 Na - K - 2Cl 共輸送体1(NKCC1)は骨格筋形成を正に制御しており、その阻害剤ループ利尿薬は骨格筋の再生を抑制し、サルコペニア(加齢や疾病による筋肉量の低下)に関与する。本研究ではさらに、骨格筋の主要 WNK アイソフォームである WNK1 に着目し、骨格筋形成とサルコペニア発症・進展における役割を解明する事が目的である。
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研究実績の概要 |
1. Protein kinase A(PKA)活性と白色脂肪におけるエネルギー代謝について PKA活性は cAMP と A kinase anchoring proteins(AKAPs)で制御される。先行研究でAKAPs-PKA 結合阻害薬が腎臓で PKAを活性化し抗利尿作用を発揮すると報告したが,腎臓で効果に乏しい化合物X がマウス白色脂肪で PKA を活性化した。白色脂肪は通常エネルギー貯蔵の場として働くが,ベージュ化することによりエネルギー消費を亢進する。化合物 X は短期投与によりマウス白色脂肪でベージュ化の指標である UCP-1発現を誘導し,長期投与によって高脂肪食負荷マウスで血中の遊離脂肪酸を低下させて体重増加を抑制した。PKA 活性化がエネルギー代謝への介入の有用な標的となり,化合物 X が慢性腎臓病(CKD)におけるエネルギー代謝異常の治療薬となる可能性を示した。 2.不飽和脂肪酸(PUFA)の関与について CKDのエネルギー代謝における PUFA 代謝酵素と代謝物の役割につき、CKD モデルマウスを作成し,CKD におけるそれらの役割を検証した。C57BL/6 J マウスに対して 5/6 腎摘による CKD モデルを作成し,CKD 腎における PUFA 代謝酵素の増減を qPCR で解析した。CKD において発現量が変化した代謝酵素に関してはその遺伝子改変マウスを用いて CKD モデルを作成し,フェノタイプを解析した。CKD の腎臓において主要な PUFA 代謝酵素のうち Alox15 がコントロール群と比して変化しており,mRNA・蛋白レベル共に増加していた。Alox15 KO マウスの CKD モデルを作成すると,野生型と比して血清 Cre の低下及び腎線維化の抑制を認めた。Alox15がCKDに置けるエネルギー代謝障害に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慢性腎臓病(CKD)におけるエネルギー代謝障害へのProtein kinase A(PKA)の関与は不明であった。当該年度においては、PKA-cAMP -A kinase anchoring proteins(AKAPs)シグナル系がUCP-1を介して白色脂肪におけるエネルギー代謝を制御していることを明らかにすることができた。 またCKDにおけるエネルギー代謝障害への不飽和脂肪酸(PUFA)の関与についても、Alox15の関与ついて明らかにすることができた。 このように基礎研究においてはCKDにおけるサルコペニア発症に繋がるエネルギー代謝障害についての新たな知見を得ることができ、順調に成果をあげることができたが、臨床研究についてはコロナ禍のため、関連病院と連携しての立ち上げが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
CKDにおけるサルコペニア発症の詳細な分子メカニズム解明を目指す。 WNK1 による骨格筋形成の詳細な分子メカニズム解明を目指す。基礎、臨床の両面から多角的に下記の研究を行う。 1. 基礎研究 (in vitro):WNKキナーゼ による atrogene の転写制御機構の解明:FOXO4 のリン酸化部位の特定、ならびに同部位のリン酸化が FOXO4 の核内外局在ならびに atrogene 転写活性に及ぼす影響を検証する。また、リン酸化プロテオミクス手法を用いて培養細胞において網羅的なリン酸化プロテオーム解析を行い、WNK1- NKCC1 シグナル伝達系、WNK1 - FOXO4 シグナル伝達系の新規基質を同定する。 2. 基礎研究 (in vivo):遺伝子改変マウスを用いた WNKキナーゼの骨格筋形成における機能の解析:WNK1 ヘテロノックアウトマウスの骨格筋量、筋線維サイズの表現型を解析し、細胞実験で確認された WNK1 発現量低下に伴う FOXO4 の細胞核内移行、atrogene 発現増加を生体骨格筋で検証する。並行して同マウスで、骨格筋WNK1 発現の増加刺激である長期運動トレーニングを行い、WNK1 の筋肥大効果への影響を野生型マウスと比較する。 3. 臨床研究:CKD 患者のコホートを用いたサルコペニアのリスクと相関するバイオマーカーの同定:CKD 患者のコホートにおいて、死亡、心血管病発症、末期腎不全への到達をエンドポイントとして、サルコペニアの有無、程度と予後の関係について前向きに検討する。コホートの計画、関連施設での倫理委員会への研究計画の承認を行い、患者登録を開始する。
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