研究課題/領域番号 |
19H03625
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所) |
研究代表者 |
上條 岳彦 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 所長 (90262708)
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研究分担者 |
大平 美紀 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (20311384)
堺 隆一 北里大学, 医学部, 教授 (40215603)
牛島 俊和 国立研究開発法人国立がん研究センター, その他部局等, 次長 (90232818)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | iPS / 神経芽腫 / エピゲノム / ゲノム編集 / NCC / neuroblastoma / transcriptome / ChIPseq / MYCN / polycomb |
研究開始時の研究の概要 |
小児がんはゲノム変異が少なく、エピゲノム変化の重要性が指摘されている。エピゲノム療法開発に向けて、iPS/NCC系を用いて神経芽腫発生過程でのエピゲノム変化を解明し、これに基いた標的分子同定・治療法開発を行う。具体的には、1.発がんに関るエピゲノム・ゲノム・トランスクリプトーム変化を我々が開発したiPS/NCC神経芽腫発がんモデルにて解析する 、2.新規エピゲノム治療開発として、ポリコーム阻害剤の耐性機構の克服に寄与する標的分子を同定するために、ゲノム編集による網羅的探索によって標的分子を同定し、その機能解析を上記iPS/NCC系で行いエピゲノム分子標的薬スクリーニングの基盤形成を行う。
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研究実績の概要 |
I-1.神経芽腫におけるヒストン修飾コードのChIPseq解析とメチローム解析 神経芽腫細胞株を用いて、ChIPseq解析:MYCN, H3K4me3, H3K27AceをMACS2ソフトウェアで解析した。TSS周囲10kbのヒートマップ解析で、これらの3つの結合部位は高頻度に一致していることを明らかにした。H3K4me3結合の13000部位の約6割7000遺伝子にMYCN結合が認められ、神経芽腫においてMYCNが転写のマスターレギュレーターであることを示唆していた。この7000遺伝子の関与する経路をDAVIDソフトウェアを用いて解析すると、転写、翻訳、細胞周期に関る経路の存在が認められた。次に神経芽腫細胞株を用いて、ChIPseq解析:H3K27me3とポリコームPRC2のEZH2を行った。このピークコールはDANPOS2ソフトウェアを用いて行い、閾値設定をlog10q value>50にて解析した。結果はH3K27me3とポリコームPRC2のEZH2で共在遺伝子が高頻度に認められた。同NB細胞にてイルミナInfiniumアレイを用いたメチローム解析を行った。PRC2分子EZH2の低分子阻害剤EPZ-6437を用いたところ、ゲノムメチル化に与える影響は少ないことが判明した。さらにDNMT阻害剤をEZH2iと併用すると、相乗的な細胞増殖抑制効果が認められた。 I-2. MYCN導入NCC形質転換クローンのトランスクリプトーム解析 アジレントマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析を野生型iPS:3例とp53変異患者由来iPS1例について行った。また同じく野生型iPSから誘導したNCC:3例とp53変異患者由来iPSから誘導したNCC1例のトランスクリプトーム解析を行った。さらに、これらを免疫不全マウスの副腎周囲脂肪織に移植し、得られた腫瘍のトランスクリプトーム解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
I.神経芽腫発がんにかかわるゲノム・エピゲノム変化と発現変化のオミックス解析;担当:上條、大平、杉野、迎、竹信、堺、牛島)については大平、杉野、上條がトランスクリプトームとChIPseq解析、堺らがALK等の神経芽腫Oncogeneのプロテオーム解析、牛島らがメチローム解析をそれぞれ予定に沿って行った。 I-2. MYCN導入NCC形質転換クローンのトランスクリプトーム解析 迎、上條がiPS培養及びNCC分化・形質転換を行い、形質転換及び移植腫瘍を順調に作出した。これらのトランスクリプトーム解析をアジレントアレイで行った。 II.EZH阻害剤による神経芽腫エピゲノム療法開発とゲノム編集スクリーニングによる改良 竹信、上條らがマルチオミックス解析により、EZH2i耐性の分子機構を明らかにしつつある。本実験は現在論文作成中であり、EZH2i耐性をDNMTiの併用がキャンセルし、その機構にがん抑制遺伝群の脱抑制、MYCNによる神経芽腫増殖制御ループの抑制があることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
I-1.神経芽腫におけるヒストン修飾コードのChIPseq解析とメチローム解析およびI-2. MYCN導入NCC形質転換クローンのトランスクリプトーム解析 これらのChIPseq解析を基に、MYCN導入NCC形質転換クローンのChIPseq解析を行っている。また、神経芽腫PDXサンプルを2種保有しており、これらにおいてもChIPseq解析を施行し、神経芽腫におけるエピゲノム変異に関るヒストンコードを解明していく。更に、DNMTiとEZH2iとの併用による相乗的な細胞増殖抑制効果の分子機構をトランスクリプトーム、ChIPseq,メチロームのmulti-omics解析をインフォマティックスを用いて明らかにしていく。また今回のMYCN, H3K4me3, H3K27Ace ChIPseq解析から複数のMYCN増幅NB細胞でMYCNによって転写制御されるCore MYCN target遺伝子群を見出し、これを制御している分子機構を解析していく。現在得られている結果を他グループのChIPseq結果と統合解析し、さらにトランスクリプトーム結果と統合して、より普遍的な重要治験をインフォマティックスを用いて同定する。 II.EZH阻害剤による神経芽腫エピゲノム療法開発とゲノム編集スクリーニングによる改良 ショットガンプロテオミクスを用いたEZH結合分子群およびクロマチン結合分子群リストの作成とそのゲノム編集スクリーニングによるEZH阻害剤の協調的標的分子同定を行う。
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