研究課題/領域番号 |
19H03706
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今井 淳太 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80431500)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 膵β細胞 / 迷走神経 / インスリン / 肥満症 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満などの際には全身でインスリンが効きにくくなる状態(「インスリン抵抗性」と呼ぶ)になり、このことが糖尿病発症の原因となる。しかし、少々の肥満では糖尿病にならず、それは、インスリン抵抗性の進展にともなってインスリンを産生する膵β細胞が増殖をし、多くのインスリンを分泌することによって血糖値の上昇を抑えるからである。しかし、膵β細胞がどのようにして全身のインスリン抵抗性状態を知り、増殖を開始するのかはよくわかっていなかった。我々はこの膵β細胞増殖を促す肝臓―膵β細胞間神経ネットワークの存在を明らかにした。本研究ではこのネットワークにおける未解明の分子機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
肝臓ー膵β細胞間神経ネットワークに関与する迷走神経因子を作用させた単離膵島において、FoxM1の発現上昇に関与する可能性のある複数の転写因子の発現が上昇していることが明らかになった。そこで、これら転写因子のうち、マウスやヒトの膵β細胞で発現が高い転写因子についてfloxマウスを作製し、このマウスを用いて誘導性膵β細胞特異的ノックアウトマウスの作製に成功した。 さらに、肥満時に肝臓ERK経路活性化が起こるメカニズムの解析については、腸管に炎症を惹起することで肝臓ERK経路が活性化して膵β細胞が増殖するモデルの作成に成功し、腸管炎症と肝臓ー膵β細胞間神経ネットワークの関係が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は研究代表者が独自に明らかにした肝臓―膵β細胞間神経ネットワークに着想を得て、この神経ネットワークの未解明の分子機構を明らかにしたものである。本研究結果によってその制御機構がさらに明らかになったことにより、インスリン抵抗性状態における代償性膵β細胞増殖という糖代謝恒常性維持においてきわめて重要なメカニズムの理解が進むことが期待される。 また、膵β細胞を増量する治療法は存在せず、これは糖尿病根治療法開発が進まない大きな要因となっている。本研究結果によって本来生物の体の中にあるシステムを活用した世界で初めての膵β細胞増量薬の開発につながる可能性がある。
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