研究課題/領域番号 |
19H03712
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
石橋 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | コレステロール / マクロファージ / 肥満 / インスリン抵抗生 / 脂肪肝 / インスリン抵抗性 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
単球・マクロファージ等の免疫細胞は2型糖尿病や脂肪肝/NASHの病態形成に密接に関連する。骨髄細胞(単球・マクロファージと好中球)特異的にHMG-CoA還元酵素(HMGCR)を除去したマウス(LysM-Hmgcr)では、動脈硬化、インスリン抵抗性および脂肪肝の改善が確認された。マクロファージ機能の変化、インスリン抵抗性と脂肪肝の改善をもたらす機序の解明を目指す。単球・マクロファージのコレステロール代謝とインスリン抵抗性・脂肪肝との関係が明らかになれば、ここを標的にした新しい治療法の開発につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
骨髄細胞(単球・マクロファージと好中球)特異的にHMG-CoA還元酵 素(HMGCR)を除去したマウス(M-HmgcrKO)ではインスリン抵抗性および脂肪肝の改善が確認された。 1)8週齢雄マウスを60%kcalラード含有高脂肪食(HFD)または12%kcal脂肪含有普通食(NCD)で24週間飼育した。肝臓のTG含量はM-HmgcrKOはfloxedHmgcrの役50%に抑制された。精巣上体脂肪組織(eWAT)とは異なり、肝臓におけるF4/80陽性細胞数は両群間に有意差はなかった。RT-qPCRで遺伝子発現量を比較した。NCDに比較してHFDではCd206の発現が有意に低下した。一方、F4/80, Cd68, Cd11c, Tnfa, Il-1b, Il-6, Mcp-1の発現はHFDとNCD間で有意差はなかった。それぞれの食餌で、全ての遺伝子発現はM-HmgcrKOとfloxedHmgcrの間に有意差は認められなかった。 2)Boyden chamberを用いてMCP-1に対する遊走脳能を比較した。M-HmgcrKO由来のチオグリコール酸誘導腹腔マクロファージ(TGEMs)の遊走能はfloxedHmgcr由来のTGEMsに比較して有意に低下していた。この低下はsqualeneやFPPの添加では回復しないが、メバロン酸と GGPP添加で完全に回復した。 3)eWATにおけるF4/80とKi67との共陽性細胞数とF4/8とTUNEL共陽性細胞数はM-HmgcrKOとfloxedHmgcrとの間に有意差は認められなかった。 以上の結果から、HMGCRの欠損はGGPP欠乏の結果、単球・マクロファージの遊走能が低下し、その結果eWATのマクロファージ数が減少し、インスリン抵抗性が改善すると考えられた。この効果は肝臓では確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HFD飼育時のM-HmgcrKOの表現型解析は順調に進行している。 予備実験から想定された脂肪肝改善効果やマクロファージの機能変化の分子メカニズムに関する検討はやや不十分である。TGEMsのラフトを単離する実験や組織のセラミド含量やRNAseq解析が未着手である。
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今後の研究の推進方策 |
1)TGEMsのsmall G蛋白(Ras、Rac1、RhoA、RhoB、Cdc42)やRabファミリーやCCR2に共役するGγのGGPP化を評価する。 2)Triton X100不溶分画(DRMs)またはショ糖密度勾配超遠心によりラフトを調整して、脂質組成を酵素法と質量分析法で 、蛋白分布をWestern blot法で評価する。 3)ステロール経路と非ステロール経路の関与を分離するためマクロファージ特異的なスクワレン合成酵素(Sqs)欠損マウスを作成し、HmgcrKOに行ったのと同様の解析を進める。
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